日大三高野球部で「わいせつ動画」拡散、親がとるべき初動は?「すぐ削除」が正解か?弁護士に聞く

日大三高野球部で「わいせつ動画」拡散、親がとるべき初動は?「すぐ削除」が正解か?弁護士に聞く

●学校や捜査機関がデータを確保してくれる

──「消させず、証拠保全を」という意見もみられますが、これは適切と考えられるでしょうか。

被害者側が速やかに動画を消してもらいたいと思う気持ちは理解できます。一方で、直ちに削除させるのではなく「証拠保全を申し立てるべきだ」との意見もあるようです。

私の経験では、学校で保管されたり、迅速な捜査がおこなわれたりすることで、問題となっているデータを確保できるケースは少なくありません。その後、家庭裁判所に送致された段階で、被害者の立場から謄写の許可申請をおこなえば、必要な証拠を適切に確保できます。

また、仮にデータがすでに消去されていた場合でも、学校の報告書や加害生徒の供述など、他の証拠を通じて所持や拡散の事実を立証できることも多く、少なくとも民事で損害賠償を請求したり示談交渉をしたりするうえで、さほど不都合が生じることはないという見解です。

●学校名の報道によって不登校になる被害生徒も

──生徒間のわいせつ動画トラブルの相談に取り組む中で、被害生徒の保護者にどのような助言をすることがありますか。

SNS上でのわいせつ動画の拡散をめぐる問題は、昨今の学校案件では多く発生しています。ほとんどのケースで、生徒が興味本位や軽い気持ちで送受信しています。

今回はたまたま報道されていますが、いわゆるスポーツ強豪校や進学校で事件が起きても、社会的に大きく報じられないまま収束するケースも一定数あります。また、部員の不祥事であっても、部活動自体は継続される例もあると理解しています。

学校名などが報道されることで被害生徒が特定され、二次被害にもつながるおそれもあります。実際、拡散による精神的なショックから心身に不調をきたして登校できなくなる被害生徒も珍しくありません。

保護者としては、少年事件化への対応も重要ですが、子どもの「教育を受ける権利」を確保する観点から、加害生徒に対する退学処分や別室指導など、学校環境の安全確保について学校に継続的に働きかけていく姿勢が大切だと考えられます。

【取材協力弁護士】
高島 惇(たかしま・あつし)弁護士
学校案件や児童相談所案件といった、子どもの権利を巡る紛争について全国的に対応しており、メディアや講演などを通じて学校などが抱えている問題点を周知する活動も行っている。近著として、「いじめ事件の弁護士実務―弁護活動で外せないポイントと留意点」(第一法規)。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp

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