頭痛が起きたときに「コーヒーを飲むと楽になる」と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか? 一方で、飲みすぎると逆に頭痛が悪化するという話も耳にします。実は良かれと思って飲んでいる一杯が、知らぬ間に症状を慢性化させているかもしれません。効果を最大限に引き出し、リスクを避けるためにはどうすればいいのか。今回は、赤坂おかだ頭痛クリニックの岡田満夫先生に、カフェインと頭痛の関係、摂取量の目安などについて伺いました。
※2026年1月取材。

監修医師:
岡田 満夫(赤坂おかだ頭痛クリニック)
平成6年浜松医科大学卒業後、脳神経外科に入局。米国Louisiana State University HSC-Shreveport、Loma Linda Universityでの研修を経て、浜松医科大学や聖隷横浜病院、虎の門病院間脳下垂体外科で研鑽を積む。令和7年、「赤坂おかだ頭痛クリニック」を開院、院長となる。医学博士。日本脳神経外科学会専門医・指導医、日本脳卒中学会専門医、日本頭痛学会専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科(脳神経外科)専門医・指導医、日本脳ドック学会認定医。
カフェインと片頭痛の関係
編集部
「片頭痛はコーヒーを飲むと治まる」という話を聞いたことがあります。本当なのでしょうか?
岡田先生
確かに、効果を感じるケースはありますね。カフェインを摂取することで、発作の初期であれば痛みが和らぐことはあります。ただし、効果には個人差があり、症状やタイミングによっては十分に効かないこともあります。あくまで一時的な対処の一つと考えてください。
編集部
なぜカフェインで頭痛が楽になるのでしょうか?
岡田先生
片頭痛の痛みには、脳の血管の拡張や神経が敏感になっていることが深く関わっています。カフェインの血管収縮作用がこの一部に働き、痛みが軽く感じられると考えられています。また、一部の鎮痛薬にカフェインが配合されるのも、鎮痛効果を補う目的があります。
編集部
「一部では」ということは、効かないこともあるのですね。
岡田先生
そうですね。例えば、カフェインの摂り過ぎによる頭痛だと、カフェインを摂取しても頭痛が治まることはありません。また、多量のカフェインを習慣的に摂取している方が急にやめると、離脱症状として頭痛が出ることもあります。カフェインは「頭痛に効くこともある」一方で「摂取の仕方・やめ方」によっては頭痛が悪化することもある物質なのです。
編集部
自分にとってカフェインが「頭痛に効くのか、頭痛を引き起こすのか」を見分けるにはどうすればいいのでしょう?
岡田先生
頭痛が起きた日とカフェイン摂取の量・時間を記録すると傾向が見えてきます。飲んだ直後に楽になるのか、翌日に響くのか、飲まなかった日に出るのかなど、パターンを把握することが重要です。必要なら受診時に記録を持参すると診療にも役立ちます。
摂取量の目安と注意点とは
編集部
頭痛を抑制するためにカフェインを摂取する場合、どのくらいの量が適切なのでしょうか?
岡田先生
目安はコーヒーで1日1~2杯程度です。毎日“必ず同じ量”である必要はありませんが、摂取量を日によって大きく増減させないことが大切です。多い日と少ない日の差が大きいほど、頭痛が起こりやすくなることがあります。
編集部
毎日たくさんのコーヒーを飲んでいる人も多いと思います。
岡田先生
そうですね。繰り返しになりますが、そういう人が急に摂取量をゼロにすると離脱による頭痛が出ることがありますので、減らす場合は杯数や濃さを少しずつ落としていくのが安全です。頭痛対策としては「増やしすぎない」「急にやめない」「毎日の量を一定に保つ」の3点が基本になります。
編集部
ほかに、片頭痛の人がコーヒーを飲む場合、知っておいた方がよいことはありますか?
岡田先生
「コーヒーは1日1~2杯程度」と言いましたが、カフェインはほかの飲み物にも入っているため、コーヒー以外の飲み物の摂取量にも気を配ることが大事です。緑茶や紅茶、栄養ドリンク、エナジードリンクなど、複数の飲料からカフェインを摂っている方は、自分では少量のつもりでも合計量が増えることがあるため、1日のトータルで把握する意識が必要です。
編集部
カフェインをとる時間帯も関係するのでしょうか?
岡田先生
関係します。夕方以降にカフェインを摂取すると眠りが浅くなり、睡眠不足を招く恐れがあります。睡眠不足そのものが片頭痛の引き金になることもあるため、頭痛にお悩みの方は遅い時間の摂取を控え、眠りの質を優先しましょう。

