
俳優として立て続けに話題作に出演し順調にキャリアを積み重ねてきた山中柔太朗と高松アロハ(超特急)W主演による映画「純愛上等!」が絶賛公開中。山中は豊嶋花とW主演のドラマ「黒崎さんの一途な愛がとまらない」(毎週火曜深夜0:24-0:54、日本テレビ系※Huluでも配信)も現在放送中と、目覚ましい活躍を見せている。本記事ではそんな山中のこれまでの経歴を振り返りながら、俳優としての魅力を紐解いていく。
■俳優デビューにしてSNSで話題に
山中が俳優として本格的にデビューを果たしたのはドラマ「高嶺の花」(2018年)。華道の世界を舞台にした本ドラマで山中は、家元候補の神宮兵馬(大貫勇輔)のアシスタントをする青年を演じている。薔薇を浮かべた風呂に入るヒロイン・月島もも(石原さとみ)にお湯をかけるシーンは観る者の記憶に残る鮮烈さがある。少年の面影を残す山中は美しく、儚げな空気もまとい、「あの美少年は誰なのか」とSNSで話題になった。
■「仮面ライター」シリーズではインパクトあるキャラクターを体現
また、山中は「あたしの!」や「ブラザー・トラップ」「君がトクベツ」といった、若手イケメン俳優なら必ず通る道と言っても過言ではない胸キュンラブストーリーにも出演。型通りの萌えだけでは収まらない表現力で、役柄に説得力を与えている。役者としての引き出しを着実に増やしている印象だ。
他に、山中は「仮面ライダーガッチャード」にも出演し、(敵役の)ズキュンパイアに扮している。白髮に胸元の開いた衣装を着用し、キャラクターソングも リリース。麗しいヴァンパイアのようなインパクトのある役どころを、キャラクター性を前面に打ち出す表現力も見せつけた。その姿からは、役者として大きく成長していることが強く感じられる。
■視聴者の気持ちを惹きつける演技力

そして、現在放送中のドラマ「黒崎さんの一途な愛がとまらない」で山中が演じるのは恋愛経験ゼロの天才小説家、黒崎絢人。父親のおにぎり屋を手伝うヒロインの高校生、白瀬小春(豊嶋)に突然「この10億円で、僕と結婚してください」と言い出す猪突猛進な青年を演じている。
まっすぐだけど恋愛に不器用な彼は、自分のことを知ってもらおうと免許証を持ってきたり、アピールするために薔薇の花束やぬいぐるみを貢いできたり、とにかく的外れ。テンションは低く、表情も崩さずに何を考えているのか読めず、小春が警戒するのも理解できる。
しかしながら、黒崎の一生懸命な姿のなかには誠実さが感じられ、どこかノーブルな雰囲気も漂っていて、彼に言い寄られれば悪い気はしないだろうと思わせてくれる。スランプのときに笑顔をくれた小春に恋したという黒崎の気持ちも伝わってきて切ない思いが胸に迫る。繊細な感情表現に心を掴まれ、気づけば山中演じる黒崎の恋を応援しているはずだ。山中が視聴者の気持ちを惹きつける演技力を備えていることが見て取れる。
■言外の感情を的確に伝えることができる力量

また、絶賛公開中の映画「純愛上等!」は七緒原作の人気BLコミックを実写映画化した、ヤンキー同士による新感覚ラブストーリー。紅桜高校のトップの円(高松)のもとに、敵対する白岩高校のトップと囁かれる美鶴(山中)がやってくる。美鶴はひょんなことから円の祖母がやっている駄菓子屋の2階に入居することに。寡黙な美鶴だったが、円はともに過ごしていくうちに美鶴の優しさとたくましさに触れて、徐々に距離が縮まっていく。
美鶴はヤンキーで喧嘩が強いとはいえ、派手で騒がしいタイプではなく、思慮深く静かな存在。その佇まいが、かえって底知れなさを感じさせる。だが、山中は近寄りがたくクールなキャラクターで終わらせてはいない。寂しさを内包した人間的な陰影をにじませており、彼がなぜ円に接近したのかという背景がわかると、心を動かされずにはいられなくなるだろう。役柄の内面を丁寧に掘り下げた山中の演技力が、作品全体に奥行きを与えている。

この2作を通じて、山中は言外の感情を的確に伝えることができる力量があると感じられた。これまで多様な役柄に挑戦してきた経験の積み重ねが、確かな表現力として結実していると言える。進化し続ける彼が、今後どのような役柄で新たな一面を見せてくれるのか、さらなる活躍が楽しみでならない。
※高松アロハの「高」はただしくは「はしごだか」。
◆構成・文=入江奈々

