「相手の気持ちを汲み取れない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
アスペルガー症候群では、コミュニケーションが上手くいかず対人トラブルに発展することがあります。
発達障害は子どものイメージを抱く方も多いですが、大人のアスペルガー症候群も増えており、大人になってから気づくケースも少なくありません。
今回は、そんなアスペルガー症候群について詳しくご紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「アスペルガー症候群」とは?大人・子供それぞれの特徴についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
稲川 優多(医師)
自治医科大学勤務。医学博士、公認心理師。日本精神神経学会精神科専門医・指導医・認知症診療医、日本老年精神医学会専門医・指導医、日本医師会認定産業医、精神保健指定医。
アスペルガー症候群の特徴

アスペルガー症候群はどのような障害ですか?
アスペルガー症候群は、知的や言語に遅れはなくコミュニケーションにおいて特異性がみられる発達障害です。自閉症スペクトラムに含まれる障害として分類されており、自閉症スペクトラムの発症頻度は100人に1人と珍しい発達障害ではありません。
アスペルガー症候群は1944年ハンス・アスペルガーにより発症報告され、知的障害を伴なわない自閉症としてアスペルガー症候群という名前が付けられました。
そして、アメリカ精神医学会が定める診断基準「DSM-5」が2013年に改定され、現在ではアスペルガー症候群・自閉症・広汎性発達障害を統合して「自閉スペクトラム(ASD)」と呼ばれています。
アスペルガー症候群でみられる症状が知りたいです。
相手の気持を汲み取れない・共感できない・会話がかみ合わないなど、コミュニケーションにおいて特徴的な症状がみられます。
集団生活の中では、「暗黙の了解」や「空気を読む」ということが求められるシーンも少なくありません。しかし、アスペルガー症候群の方の場合はそれが難しく、その場の雰囲気を壊してしまう言動をしてしまうのです。本人はまったく悪気はないものの、相手に不快な思いをさせてしまったり孤立したりすることもあります。
また、相手の言葉をそのまま受け取ることも症状の1つです。想像することが苦手で、冗談・社交辞令・嫌味などを文字のままで受け取り、真に受けてしまいます。
コミュニケーションの他に、強いこだわりもアスペルガー症候群の特徴的な症状です。自分の中で決まったルールがあり、その通りに進めることに重点を置き、ルールからそれてしまうとパニックになることもあります。
他人とコミュニケーションが上手くいかないことや決まったルールがあることから、自分の世界に引きこもるケースも少なくありません。しかし、興味のある分野に関してはとことん追求し、仕事で大きな成果を上げる方も多いです。
原因は解明されていますか?
アスペルガー症候群の原因は、明確に解明されたわけではありません。しかし、研究が進み遺伝子や胎内環境が影響しているのではないかといわれています。
さまざまな要因が複雑に絡み合っている可能性があるため、どのような遺伝子や胎内環境がどういった経緯で影響しているかというところまでは分かっていません。
1ついえることは、アスペルガー症候群の原因は幼少期のしつけ・育て方ではないということです。また、本人の性格が原因というわけでもありません。
大人と子どもで症状や特徴に違いはありますか?
成長・発達が急激に進む乳幼児期では、親と目が合わない・何度言っても理解できない・音に敏感に反応するといった症状がみられます。
また、幼児期は同年代の子どもと複数人で遊ぶようになる時期ですが、アスペルガー症候群の子どもは1人で何かに熱中していることが多いです。イレギュラーなことに対応するのが苦手で、小中学生になると集団生活で悩むことも少なくありません。
学習面においては、得意な分野の成績は良いものの、それ以外はついていけずに辛い思いをするケースも多いです。
大人になると、学習面よりもコミュニケーションや想像力の面で悩むことが増えていきます。得意分野や興味のあることにとことん追求するタイプが多く、仕事で活躍したり成功したりする方は決して少なくありません。
しかし、仕事はできるけれど相手の思いを汲み取ることが苦手で、周囲の人とコミュニケーションがとれずに思わぬ誤解が生じたりします。また、自分のこだわりがあるため「融通が利かない人」と思われることもあるでしょう。
編集部まとめ

アスペルガー症候群は発達障害の中でも言葉や知能に遅れがないため、大人になってから気づくケースも増えています。
いわゆる「空気を読む」という行為が苦手で、相手の気持を汲み取ったり想像して対応することが難しく、対人関係に悩むケースが多いです。
そんなアスペルガー症候群は薬で治すことはできませんが、カウンセリングやトレーニングによって症状は軽減できます。
そのためにも、早めに気づいて診断を受けることが大切です。
アスペルガー症候群に気づいて適切なサポートをすることで、本人はもちろん周囲の人にとっても不安の軽減につながります。
症状の現れ方には個人差があるため、少しでも気になることがあれば一度専門の医師に相談してください。
参考文献
発達障害の理解(厚生労働省)

