使用機材<Tcl A1s,Philips Soundbar>
〈食い意地と物欲は右に出るものがいない作家〉……当欄の冒頭にはG舎の担当さんが付けたキャッチフレーズがある。ここ最近は食い意地ばかりに触れてきたので、今回は久々に物欲に関するお話を。
見出しにある〈200インチ〉とはなんぞや。まず読者の多くがそう感じたに違いない。引っ張っても仕方ないので、種明かし。本稿で触れるインチとは、壁掛けのスクリーンを指す。勘の良い読者はお気づきかもしれない。壁掛け、ロールアップ式のスクリーンだけでは、巨大で邪魔な一旦木綿に過ぎない。これに対を成すブツが必要なのだ。
肝心なブツとはなにか(引っ張るな)。
スクリーンに映像を投影させるプロジェクターだ。昨年秋、友人とバーに行った際、カウンターの隅にちょこんと鎮座する小型プロジェクターが目に入った。店の白壁にクリアかつ明るい画像を映し出す最新鋭機に驚き、久々に物欲がザワザワし始めたのだ。
拙宅のリビング。ザワザワした挙句購入した120インチのスクリーン。左隅が55インチのテレビ。もう戻れない体に(生活感アリアリの様子はご容赦)。
持ち運び楽々な中国製プロジェクター(シェア最大手)。画質は文句なし。いつの間にか、日本製から韓国製、そして中国製がシェアをほぼ独占。世の中の変化に驚嘆。
今にして思えば、この手のガジェットに興味を持ち始めたのは四〇年以上前、高校生のときだった。アルバイトで貯めた資金をカセットデッキ(今どきの読者は知らぬまい)やアンプ、スピーカーに投じ、LPレコードをせっせと買い集めた。これがCD、MDデッキ、その後はLD(レーザーディスク)のハード、ソフトまで揃える事態に発展した。
現在の仕事場、自宅リビングにしても、プラズマディスプレーに始まり、有機ELテレビとハード、ソフト面ともに金を溶かし続けた。今、この原稿を書いているパソコンの背後の棚にも、映画やライブ関連のDVD、CDが二〇〇〇タイトル近く詰まっている。
真夜中のライブ大会。暗闇の中だと映画館と同じような感じに。輝度は文句なし。
こちらは仕事場(約8帖)のスクリーン。80インチでライブ音源を楽しむ。こりゃたまらん。
話をプロジェクターに戻そう。かつて大金持ちの友人宅、専用のオーディオルームを訪れた際、天井から吊るされた大型のプロジェクターがあまりにも高価だったことに腰を抜かした。それから二〇年以上経過し、先に触れたバーの小さなブツである。
〈これなら狭い仕事場にも導入可能〉
そんな思いでリサーチを始めると、なんと安価なのだ。大金持ちの大型専用機器並み、いやそれ以上の性能で五万円前後。技術の進歩、コスト改革の恐ろしさ。そしてスクリーンにしても、一万円前後で購入可能となれば、物欲作家が通販サイトのボタンを押すのは時間の問題だ。
蘭製のスピーカー(サウンドバーと呼ぶらしい)。コンパクトなのに映画館みたいな音場を再現、しかも1万円以下。
スピーカーとプレジェクターのリモコン。プロジェクターにGoogleテレビが内蔵されているので、即座に各種配信サービスの利用が可能。こりゃ、テレビが売れなくなるわけだ(独り言)。
複数の連載を抱え、テレビ番組のレギュラーも務めている関係上、プライベートで旅に出るチャンスが激減した。コンサートにも行けない。原稿を書くというアウトプット作業ばかりで、映画を観る、音楽を聴くというインプット作業をせねば、死んでしまう。そんな強い思いもプロジェクターの購入を後押しした(強引な理由だ)。
さて、見出しの200インチである。実は仕事場の壁用に80インチのスクリーンを、リビングには120インチを導入し、ポータブルのプロジェクターをフル稼働させている。
リビングには既に55インチのテレビ、そしてサラウンド用のスピーカーを完備していたが、120インチの迫力には到底敵わない。というか、別次元(新しいスピーカーも購入済み)。
仕事終わりにそれぞれの大スクリーンで、泡盛やシングルモルトのグラス片手に息抜き、否、明日の創作活動に向けた滋養補給を続けている物欲作家なのだ。これで、面白い新作が世に出ること間違いなし。
もちろん、既存のDVDもプラグインで視聴可能。こういうカルト作品がいつでも大画面で楽しめる幸せ。
敬愛してやまないトマス・ハリス氏原作の作品たち。こういうインプットが次なるアイバ作品の栄養になるのだ(ホンマかいな)。

