《若紫》 2007年 志村ふくみ 絹糸/紫根、茜 【前期展示】
志村さんは31歳の頃に母親の影響で染織家を志し、植物染料と紬糸を用いる紬織を始めました。その作品の特徴といえば、音楽を奏でるように響き合う色彩。そこには、自然と作家の間で交わされる丁寧な対話のようなイメージをも感じられます。
1990年には紬織の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。本展は、2025年秋に101歳を迎えた志村さんのこれまでを振り返る展覧会です。本展をきっかけに構想・制作された作品2領(※)も初めて公開されます。
※領…ひとそろえの着物の単位
見どころ①源氏物語をテーマにした連作
《朧月夜》 2025年 志村ふくみ監修 制作 都機工房 絹糸・金糸/紫根、藍、臭木 【通期展示】
京都・嵯峨野に工房を構えた志村さんは、70代半ばから源氏物語をテーマとした連作を手がけてきました。嵯峨野といえば、光源氏のモデルとされる源融(みなもとのとおる)が眠る地。平安時代の王朝世界を身近に感じたことが、源氏物語シリーズ制作のきっかけとなりました。
《夢の浮橋》 2025年 志村ふくみ監修 制作 都機工房 絹糸/紅花、茜、紫根、藍、刈安 【通期展示】
本展では、滋賀県立美術館の所蔵作品を含む代表作12点を展示。さらに、本展のために制作された新作《朧月夜》と《夢の浮橋》が初めて公開されます。
作品のタイトルは各帖からとられ、色と織りで物語の香りや響き、情感を表現。文学世界の味わいを、言葉ではなく染織で表した傑作シリーズです。
見どころ②新作能『沖宮』の能装束をすべて展示
2021年、作家・石牟礼道子さんが遺した新作能『沖宮』の公演が行われました。こちらはそのときの映像です。衣装は志村さんが手がけました。
舞衣《紅扇》 2021年 志村ふくみ監修 制作 都機工房 絹糸/紅花、藍、刈安、臭木、紫根 【前期展示】
『沖宮』の舞台は、島原の乱が起こったあとの天草下島の村です。村は干ばつに苦しんでおり、少女の「あや」が龍神への人身御供として差し出されることになりました。舟に乗って沖へ流されたあやは、天草四郎によって「沖宮」へと導かれていきます。
小袖《Francesco》 2020年 志村ふくみ監修 制作 都機工房 絹糸/臭木、藍 【前期展示】
本展では、『沖宮』で使われる6領の装束すべてが展示。あやを象徴する緋色が鮮やかな《紅扇》と、天草四郎の小袖《Francesco》は関西初公開です。
