嘔吐をした際に吐血が混じっている場合はマロリーワイス症候群の可能性が高いです。
聞き馴染みのない病名で初めて聞いた方も多いのではないでしょうか。
1929年にマロリーとワイスという2人の医師によって報告されたことからマロリーワイス症候群と呼ばれています。
この記事ではマロリーワイス症候群がどういった病気なのかをご紹介します。治療期間なども合わせて解説いたします。
※この記事はメディカルドックにて『「マロリーワイス症候群」を発症すると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
マロリーワイス症候群の治療期間と予後

マロリーワイス症候群はどれくらいで治りますか。
臨床データでは内視鏡で瘢痕治癒まで経過観察した31症例で、個人差はありますが平均治療期間は約16日間です。内訳としては22例(71.0%)が3週間以内に治癒しており、そのうち6例(19.4%)が1週間以内に治癒しています。軽度であれば数日で治癒する可能性もあるでしょう。
マロリーワイス症候群の予後はどうですか。
大量に出血しない限り基本的には自然止血が見られ、予後も良好でほとんど再発することはありません。ただし早期発見・早期治療が大切です。マロリー症候群の発見が遅れてしまうと予後不良になってしまう可能性もあるので注意しましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
嘔吐をした際に出血がみられた場合は非常に不安な状況でしょう。しかし慌てることなくまずは病院で受診しましょう。自然止血することもありますが、自己判断で数日経過を観察しようとするのは大変危険です。症状を放置することにより悪化してしまい大量に出血し緊急手術が必要になる場合もあるでしょう。原因の多くが暴飲暴食に関わっていることは明らかなので、度数の高いアルコールを短時間で大量に飲むことや一気飲みをするなどは控えましょう。普段の食生活を意識することで予防ができるので、少しでも当てはまるようであれば食生活や飲酒習慣の見直しをオススメします。
症状は辛いことがありますがマロリーワイス症候群は早期診断し早期治療を行えば治せる病気です。不安を1人で抱え込まないように症状に心当たりがあれば悩まずにすぐ医師に相談しましょう。
編集部まとめ

30代〜50代の男性に多く見られる症状ですが、若年者や高齢者にも年齢関係なく発症する病気です。自分は問題ないだろうと過信しないように注意しましょう。
マロリーワイス症候群は予防できる病気です。暴飲暴食を避けて飲酒をする際は、嘔吐するまでの量を飲まないように心がけましょう。
参考文献
アルコールの消化管への影響(厚生労働省)

