中国・復旦大学の研究員らは、 イギリスのバイオバンクのデータを用いて約46万人を13年以上追跡し、コーヒー摂取量と精神障害との関連性を調査しました。その結果、1日2〜3杯程度の適度な摂取で気分障害やストレス障害のリスクが最も低くなるという関連が認められました。この内容について伊藤医師に伺いました。
※2026年2月取材。

監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
心の健康に最適な「コーヒーの杯数」と性別による違い
編集部
復旦大学の研究員らが発表した内容を教えてください。
伊藤先生
今回紹介する研究報告は、復旦大学の研究員らによるものです。イギリスのバイオバンクのデータを用いた大規模な前向き研究により、コーヒー摂取量と精神障害との関連性が明らかになりました。この研究では、46万1586人の参加者(男性46.4%、平均年齢57歳)を中央値13. 4年間追跡し、気分障害とストレス障害の発症リスクを調査しました。
分析の結果、コーヒー摂取量と精神障害の間にはJ字型の関連が認められました。これは、1日2〜3杯程度の適度な摂取量で最もリスクが低くなることを意味します。この関連性には性差が認められ、特に男性において気分障害との関連がより顕著でした。一方で、カフェイン代謝に関わる遺伝子型による影響の違いは確認されませんでした。
この研究結果は、適度なコーヒー摂取が精神的健康の維持に役立つ可能性を示唆しており、日常生活における飲料選択の参考になると考えられます。
飲み過ぎは逆効果? 国内外のガイドラインから見る「適量」の基準
編集部
今回の研究テーマに関連するコーヒー摂取量の目安について教えてください。
伊藤先生
参考となる指標として、カナダ保健省では、健康な成人の場合は1日あたりマグカップでコーヒー約3杯分までとしています。一方で、妊娠中・授乳中、または妊娠を予定している女性については、より影響を受けやすいことから、1日あたりマグカップで約2杯分までが目安とされています。ただし、現時点ではカフェインについて「一生涯にわたって安全」と言いきれる摂取量は、日本でも国際的にも設定されていません。その理由として、カフェインの影響には体質や年齢、生活習慣などによる個人差が大きいことが挙げられます。
研究結果を日常生活に生かすためにも、自身の体調やライフステージを考慮しながら、コーヒーの飲み過ぎには注意し、無理のない量を意識して摂取するようにしましょう。

