「痛そう」「つらそう」「恥ずかしい」。そんなイメージから大腸カメラを敬遠している人は多いのではないでしょうか? しかし、近年は検査機器や技術の進歩によって、苦痛の少ない安全な検査が可能になっているのだそう。そこで、蓮尾胃腸内視鏡クリニックの蓮尾先生に詳しい話を聞きました。
※2025年11月取材。

監修医師:
蓮尾 直輝(蓮尾胃腸内視鏡クリニック)
川崎医科大学卒業後、神戸大学医学部第二内科に入局。日本生命済生会 日本生命病院、公立御津病院(現・たつの市民病院)、昭和医科大学横浜市北部病院 消化器センターなどで経験を積み、神戸大学大学院医学研究科博士課程を修了。西脇市立西脇病院、柏原赤十字病院(現・兵庫県立丹波医療センター)、それいゆ会 こだま病院、進英会 大阪内視鏡クリニック、三好内科などを経て現職。医学博士。日本内科学会認定内科医・日本消化器内視鏡学会専門医。
大腸カメラってそんなに大事なの?
編集部
大腸カメラはどのような検査なのでしょうか?
蓮尾先生
大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)は、肛門から細いスコープを挿入し、大腸全体を直接観察する検査です。検査するだけでなく、必要に応じて組織の一部を採取したり、その場でポリープを切除したりすることも可能です。命に関わる病気の予防に直結する、非常に重要な検査です。
編集部
どんな病気が見つかることが多いですか?
蓮尾先生
大腸ポリープや早期の大腸がん、大腸炎、憩室(けいしつ)などがよく見つかります。特にポリープの段階で発見して切除できれば、がんの発症を防ぐことができます。無症状でも定期的に受けることが重要です。
編集部
症状がなくても受けた方がよいのですか?
蓮尾先生
受けた方がよいですね。大腸ポリープや早期がんは、初期の段階では痛みや便通異常などの症状がほとんどないため、定期的に大腸カメラを受けることで「病気を未然に防ぐ」ことが可能になります。特に40代以降では、ポリープの発生率が高まり、放置するとがん化するリスクが上がります。検査を受けて異常がないと確認できれば、その後の安心にもつながります。
編集部
検査はどのような流れでおこなわれますか?
蓮尾先生
まずは、前日に消化のよい食事を取り、腸を空にするための下剤を服用します。下剤の飲み方は、「前日に自宅で飲む」「当日自宅で飲んでから来院」「当日クリニックで飲む」などさまざまです。当日来院したら検査着に着替え、検査をおこないます。検査自体は15〜30分ほどで終わりますので、入院する必要は基本的にありません。
苦痛を減らす検査の工夫は?
編集部
「大腸カメラ」というと痛みやつらさが心配です。
蓮尾先生
そういった不安のある人はとても多いと思います。しかし現在は、機器の細径化と操作技術の進歩により、痛みを感じる人は大幅に減りました。「押さない・曲げない」操作を徹底し、腸の形に合わせてスムーズに進めることなどで、不快感を最小限に抑えることができます。さらに、鎮静剤を使う検査もあります。
編集部
鎮静剤を使った検査について、詳しく教えてください。
蓮尾先生
点滴で鎮静剤を使用すると、うとうと眠くなるようなリラックスした状態で検査を受けることができます。全身麻酔ではないため呼びかけには応じられ、何をされているのかもぼんやりと感じながら安全に進められるのが特徴です。実際に検査を受けた多くの人が「気づいたら終わっていた」と話していますね。
もちろん、鎮静なしで受けることも可能で、痛みが強い場合は途中から使用することもできます。「できれば使いたくないけれど、もし痛かったらお願いしたい」という場合は、事前に希望を伝えておくと安心です。
編集部
鎮痛剤があれば苦痛なく検査を受けられそうですね。
蓮尾先生
そうですね。さらに、鎮静によって体がリラックスし、医師が細部まで丁寧に観察できるという利点もあります。観察時間が長いほどポリープ発見率が高まるという研究結果もあり、鎮静剤を使用することは快適さだけでなく、検査の質の向上にもつながっています。
編集部
安全性も気になります。
蓮尾先生
心拍数や血圧、酸素濃度をモニタリングしながら投与するため、安全性は高いです。量も年齢や体調に合わせて慎重に調整します。眠りの深さをコントロールできるため、安心して受けてもらえると思います。ただし薬剤である以上、100%安全ではありません。リスクを回避するために必要最小限の使用にとどめ、検査する際は慎重に全身管理をおこなうようにしています。

