日本のパスポートの当たり前は、世界の当たり前ではない
その一冊を持つだけで、188の国と地域にビザなしで渡航できる。これは単なる偶然ではありません。
先人たちが積み重ねてきた外交努力、経済力、そして何より「日本人は約束を守る」「大きなトラブルを起こさない」という国家への信用の蓄積。その結果として与えられている“見えない信頼”です。
私たちは、その信用の上に立っています。しかし、この「当たり前」は、世界の当たり前ではありません。
パスポートの力が弱い「持たざる国」の若者たちは、渡航のたびに高額な手数料を払い、膨大な書類を準備し、国によっては面接を受けなければなりません。それでも、ビザが下りないことは珍しくありません。
そんな彼らにとって国境は、大きな壁になっている。
一方で、日本人は188カ国がフリーパスで、国境が自動ドア状態になっている。私たちは「移動の自由」という、世界的に見れば極めて希少な特権を持っているのです。
旅券の日に問われる、日本人の国際化
そして今年も、2月20日「旅券の日」がやってきます。この日は、外務省から最新の旅券統計が発表される日でもあります。これは単なる数字の発表ではなく、日本人の国際化の健康診断のような意味があるんじゃないかと、私は思っています。
どれだけの人が世界へ目を向けているのか。どの世代が、どれくらい外に出ようとしているのか。その現在地が、数値として可視化される日なのです。
今年の注目ポイントのひとつは、2025年3月から全国で可能になったスマートフォンでのオンライン新規発行申請。「面倒だから作らない」と言っていた層を、どれだけ動かせたのか。利便性の向上が、実際の行動変容につながったのか。
その答えが、今回の統計で見えてくるはずです。これにより、パスポート取得のハードルは確実に下がりました。
そして、コロナ禍以降たびたび指摘されてきた「若者の海外離れ」。この日に世代別の発行数も出るので、若年層の経済状況や内向志向の実態も浮き彫りになるでしょう。世界へ向かう余力があるのか、それとも余裕を失っているのか。
結果次第では、政治の動きにも影響を与えるはずです。
実際、2026年7月1日からはパスポート手数料を最大7000円引き下げる案が国会であがっています。現在1万6000円かかる10年用パスポートは、1万円以下になる見込みと報じられています。
この方針は、年度末の予算成立を待って、正式に具体化される見通しとなっています。
これは単なる安売りではありません。
機会の平等化・標準化。経済的な理由で「世界を見る機会」を得られない若者を減らすための、未来への投資だと思っています。

