ADHDは、注意力の欠如や衝動性・多動を特徴とする発達障害です。ADHDの方は、性別や社会的な立場により、さまざまな悩みを持つことがあります。本記事では、大人のADHD女性にみられる特徴などを解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「大人のADHDの女性が持つ特徴」はご存知ですか?日常生活での注意点も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
前田 佳宏(医師)
島根大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科に入局後、東京警察病院、国立精神神経医療研究センター、都内クリニックにて薬物依存症、トラウマ、児童精神科の専門外来を経験。現在は和クリニック院長。愛着障害やトラウマケアを専門に講座や情報発信に努める。診療科目は精神神経科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経内科。 精神保健指定医、認定産業医の資格を有する。
大人のADHDの女性が持つ特徴と悩み

大人のADHDの女性によくみられる特徴を教えてください
大人のADHDの女性は、多動性よりも不注意や衝動性が生活のなかで現れやすいといわれています。不注意は、仕事や生活のなかでのケアレスミスや先延ばし、紛失などの困りごとにつながります。衝動性は、買い物や恋愛、人間関係などの困りごとを招きやすい傾向です。
ADHDの女性が抱えがちな悩みごとはありますか?
大人のADHDの女性が抱えやすい悩みは、成人女性に期待される役割、身を置くことが多い環境に密接に関わっています。
不注意によって生じる悩み
・支払いや行政手続きを先延ばしにしてしまう
・通帳や印鑑など大切なものを紛失する
・片付けができない
・仕事や家庭でのミスが多い
・遅刻しやすい
衝動性によって生じる悩み
・思いつきで大きな買い物をしてしまう
・親密ではない相手に個人的なことを話しすぎてしまう
・失言が多い
多動によって生じる悩み
・じっとしていられない
・貧乏ゆすりをしてしまう
ADHDの女性は、不注意や衝動性の特性が表に現れやすく、多動に関する困りごとは少ない傾向です。一方で不注意や衝動性による困りごとは多く、人間関係や社会生活に支障を来すことも珍しくありません。
ADHDの二次障害とはどのような状態ですか?
二次障害とは、元々ある障害を原因として新たに発現した症状や疾患を指します。ADHDの二次障害は、特性により不適応を起こし、度重なる失敗や叱責により自尊感情が低下して、精神的な問題が起こります。
二次障害は、外在化障害と内在化障害に分けられます。
外在化障害とは、気持ちのイライラや葛藤が他者に向けられる形で現れることを指します。反抗性人格障害や行為障害など、反社会的な行動につながる場合があります。
内在化障害は、ネガティブな気持ちが自分自身に向けて現れることを指し、強迫性障害や気分障害、抑うつにつながることがあります。二次障害は、本人の特性と環境とのミスマッチが大きいと、よりリスクが高まります。
編集部まとめ

大人のADHD女性は、幼少期は特性が目立たず、大人になってから生活や仕事での悩みが大きくなり診断に至るケースが男性と比べて多い傾向です。
社会生活のなかで、注意力や段取りの問題で悩む方が少なくありません。
ADHDは、環境調整や薬物療法で生活の質を上げられる可能性があるため、生活や仕事のなかで困りごとが多い方、支障を来している方は、医療機関の受診を検討してみましょう。
参考文献
『注意欠如多動性障害(ADHD)の疫学と病態: 遺伝要因と環境要因の関係性の視点から』(日健医誌)
『報酬系を通した注意欠如・多動性障害の病態理解』(日本生物学的精神医学会誌)
『注意欠如・多動症(ADHD)特性の理解』(心身医学)
『”ADHDタイプ”の方の対処策』(国立精神・神経医療研究センター)
『DSM-5と成人期ADHDの適性診断について』(精神神経学雑誌)
『日本におけるADHDの制度化』(大阪市立大学社会学研究科)

