
雑誌「ウルトラジャンプ」などに掲載されていた中国人漫画家の作品を原作にした中国のドラマ「長歌行」。中国を代表する女優の1人・ディリラバがヒロインを演じるこの物語は、唐の時代の史実をベースにフィクション要素も加えられており、アクションやロマンスなどのエンタメが豊富に盛り込まれている。Huluにて全49話という大構想で制作された名作ドラマの見どころを、今回は5話から8話までのストーリーを追いながら深掘りしていく。
■「長歌行」とは
「長歌行」は唐代初期を舞台にした中国ドラマだ。本作品の魅力は、その壮大なスケールと奥深いキャラクター描写にあるといえるだろう。戦乱の中で成長する登場人物たちの心の葛藤や信念が丁寧に描かれている。
ヒロインの李長歌役は中国を代表する女優・ディリラバが務めた。長歌は家族を殺され復讐に燃える強い女性であると同時に、ストーリーが進むにつれてさまざまな悩みや葛藤も抱えるようになる。彼女が時折見せる人間らしさと成長過程は本作品の最大の見どころであり、視聴者に深い共感を与えた。
一方、カリスマ将軍・阿詩勒隼(アシラ・シュン)役はウー・レイが熱演。異民族の将軍としての冷徹さと、長歌への深い愛情との間で揺れ動くという微妙な立ち位置を見事に演じている。2人の間には単なる恋愛ではなく、異なる目的や文化を前に価値観をぶつけ合い、揺らぐ信頼と愛情が絡み合う。また随所に展開される戦闘シーンも迫力満点で、戦術やアクションの緻密な演出も大きな見どころだ。
本作はシンプルな復讐劇やラブストーリーではなく、「正義とは何か」「国や民族を守るとはどういうことか」といった普遍的なテーマも内包している。単純な善悪ではない“それぞれの立場での正義”が描かれる点も興味深く、歴史や戦乱の中で人々がどのように生き抜いてきたのかを考えさせられる作品となっている。
■緊迫する駆け引きが続く中でさまざまな人間模様も垣間見えるストーリー
第5話は阿詩勒隼が矢に刺された長歌を発見するシーンからスタート。長歌は隼に対し、自分は十四郎だと名乗るものの、隼はこの時点で長歌が女であることに気づいていた。隼に助けられた翌日、長歌は隼の前から姿を消した。一方、長安では李楽嫣が阿詩勒部に嫁ぐことが決まったため、李世民は楽嫣が病に倒れたと装い洛陽での養生を命じる。楽嫣の護送役となった魏叔玉は、途中で皓都から幽州行きを命じられる。長歌も阿竇(あとう)とともに幽州へ潜入するが、その目的はかつて父と親交の深かった廬江王・李エンに接触することだった。
第6話では、阿詩勒隼の配下が城門を通る際、幽州の将軍・王君廓に鉄鉱石を見つけられ、取引を持ちかけられる。隼は、阿詩勒部の支援を約束する代わりに降伏を勧めるが、その動きを息子の阿詩勒渉爾に察知されてしまう。その頃、偶然にも隼と同じ宿に宿泊していた長歌は、李エンが朝廷に対して沈黙を貫いていることを知り、皇太子璽を使って勝負に出る。李エンを長安へ召還するため幽州へ向かっていた皓都と叔玉は、一行に李楽嫣が紛れ込んでいたことを知ったため、やむを得ず彼女を連れたまま幽州へ入ることになる。
第7話。李エンを訪ねた長歌は、李世民に対抗するため、自ら偽造した令旨を手渡す。しかしその直後、長安からの使者として叔玉が都督府に到着する。王君廓は反乱の口封じとして叔玉を始末しようとするが、長歌が巧みに説得し、殺害を阻止する。結果として叔玉は捕らわれの身となってしまった。長歌は思いがけない再会に苦しみ、涙を流すが、隼に連れ出されることで気を取り直す。その頃、阿詩勒部の小可汗・渉爾は王君廓と密かに接触していた。
第8話。王君廓の陰謀を察知した長歌は、李エンを救うべく向かった都督府で囚われの身となってしまうが、皇太子璽を盾に李エンと交渉することに成功。叔玉と皓都が合流する予定の城門へと向かった。王君廓と刺客たちが警戒を強める中、皓都は長歌を奪還することに成功。しかし、隼が李楽嫣を人質に取り、長歌との交換を要求する。ところが、長歌は幽州を阿詩勒部から守ると宣言し、隼の元を去る。幽州を守るため、皓都らの元へ戻った長歌だったが、駅館に監禁されてしまう。阿竇の助けを得て脱出し、城外に駐留する沈都尉のもとへと急ぎ、幽州の危機を知らせるのだった。
■長歌の知略と思いがけない再会に揺れ動く感情が見どころの第7話
今回の特筆すべき見どころは、李エンを訪ねた長歌が叔玉を救い、思わぬ再会に涙する第7話だろう。父・李建成の縁で李エンを訪ねた長歌が、偽造した令旨を使い李世民への対抗策を模索する姿は、まさに長歌の知略と大胆さを象徴している。
また叔玉の命を救うため、自ら彼の喉元に小剣を突きつけて王君廓を説得するシーンも緊迫感があり見応え抜群。素手で叔玉の剣を止める仕草も、理論詰めで叔玉を生かすことの利を説く堂々とした姿も実に気高く美しい。敵地での長歌の冷静な立ち回りが際立つシーンだ。
一方、かつての友でもあった叔玉との思いがけない再会に長歌が涙を流す場面では、彼女の強さの裏にある繊細な感情が垣間見える名シーンといえよう。長歌の涙を目にした隼がその理由を問いただし、長歌が「古い友に会っただけだ…違う、もう友じゃない」と答える。すると隼も長歌と同様に、袂を分かった友の存在を打ち明けるのだ。
「私たちは友になれるか?」と聞く長歌に対し、隼が「もう友だろう」と返すシーンは緊迫感が続くストーリーの中で束の間の安息を与えてくれる。政治的な駆け引きとキャラクターの感情が交錯する見応え抜群の「長歌行」は、動画配信サービス・Huluにて全49話を見放題配信中。

