免疫機能を維持するためには、適切な栄養素を含む食べ物を日常的に取り入れることが大切です。タンパク質やビタミン類、ミネラルといった栄養素は、免疫細胞の産生や機能維持に重要な役割を果たします。また、腸内環境を整える発酵食品や食物繊維も、免疫機能と深く関わっています。免疫機能を支える食べ物や栄養素、さらに運動や自己チェックの方法まで、実践的な内容をご紹介します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
免疫機能を支える食べ物と栄養素
免疫機能を維持するためには、適切な栄養素を含む食べ物を日常的に摂取することが重要です。タンパク質、ビタミン類、ミネラルといった特定の栄養素は、免疫細胞の産生や機能維持に重要な役割を果たします。
免疫細胞を支えるタンパク質とビタミン
タンパク質は免疫細胞の主要な構成成分であり、抗体の材料にもなります。良質なタンパク質を含む食品として、鶏肉、魚、卵、大豆製品などが挙げられます。これらの食品から1日あたり体重1キログラムあたり1グラムから1.2グラム程度のタンパク質を摂取することが目安です。
ビタミンAは粘膜を健康に保ち、病原体の侵入を防ぐバリア機能を強化します。レバー、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜に豊富に含まれています。ビタミンCは免疫細胞の働きを活性化させ、抗酸化作用も持ちます。柑橘類、いちご、ブロッコリー、パプリカなどに多く含まれており、水溶性ビタミンであるため毎日適量を摂取することが重要です。
ビタミンDは免疫調整作用を持ち、過剰な免疫反応を抑える一方で、必要な免疫応答を促進します。魚類、きのこ類に含まれるほか、日光を浴びることで体内でも合成されます。ビタミンEは抗酸化作用により免疫細胞を酸化ストレスから守ります。ナッツ類、植物油、アボカドなどに豊富です。
発酵食品と食物繊維の役割
腸内環境は免疫機能と密接な関係があり、腸管には非常に多くの免疫細胞が存在し、発酵食品は腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果が期待できます。ヨーグルト、納豆、味噌、キムチ、ぬか漬けなどの発酵食品を日常的に摂取することで、腸内フローラのバランスが改善される可能性があります。
特に乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌は、免疫細胞を刺激して活性化させる働きがあることが研究で示されています。食物繊維も腸内環境の改善に欠かせません。食物繊維は善玉菌のエサとなり、その増殖を促進します。野菜、果物、海藻、きのこ、豆類、全粒穀物などに多く含まれています。
特に水溶性食物繊維は腸内細菌によって発酵され、短鎖脂肪酸という物質を産生します。この短鎖脂肪酸には免疫調整作用があり、適切な免疫応答を促す効果が期待されています。食物繊維の摂取目標量は、成人男性で21グラム以上、成人女性で18グラム以上とされています。ただし、急激に摂取量を増やすと消化器に負担がかかる場合があるため、徐々に増やすことが望ましいです。
食事のタイミングと調理法の工夫
免疫機能を高める食べ物を選ぶことに加えて、食事のタイミングや調理法にも配慮することで、栄養素の吸収効率を高めることが期待できます。規則正しい食事と栄養素を損なわない調理法が重要です。
栄養素の吸収を高める食べ方
食事のタイミングは体内時計と関連しており、規則正しい時間に食事を取ることで、栄養素の吸収や代謝が効率的に行われる可能性があります。朝食は1日のエネルギー源として重要で、タンパク質やビタミンを含むバランスの取れた内容にすることが推奨されます。朝食を抜く習慣は、生活リズムの乱れを通じて体調に影響する可能性があります。
また、よく噛んで食べることも大切です。咀嚼によって唾液の分泌が促進され、唾液に含まれる抗菌成分が口腔内環境の維持に関与しています。さらに、食べ物が細かく砕かれることで消化吸収が良くなり、栄養素を効率的に取り込めるようになります。
食事の際には、複数の栄養素を組み合わせることで相乗効果が得られる場合があります。例えば、ビタミンCは鉄分の吸収を促進するため、肉や魚とビタミンCを含む野菜を一緒に摂取すると効果的です。脂溶性ビタミンであるビタミンA、D、E、Kは油脂と一緒に摂取することで吸収率が高まります。
免疫機能を損なわない調理のポイント
調理法によっては、食材に含まれる栄養素が失われてしまうことがあります。ビタミンCやビタミンB群などの水溶性ビタミンは、茹でることで水に溶け出してしまうため、蒸す、焼く、炒めるといった調理法が栄養素の損失を抑えられます。野菜を茹でる場合は、茹で汁をスープに活用することで溶け出した栄養素も摂取できます。
一方、加熱によって吸収率が高まる栄養素もあります。トマトに含まれるリコピンや、にんじんのβカロテンは、加熱することで細胞壁が壊れ、吸収されやすくなります。油と一緒に調理するとさらに吸収率が向上します。発酵食品の乳酸菌は熱に弱いため、味噌汁を作る際には火を止めてから味噌を溶かすなど、加熱しすぎない工夫が必要です。
また、食材を洗いすぎることも栄養素の損失につながります。野菜は短時間でさっと洗い、長時間水に浸けないようにしましょう。調味料の使い方にも注意が必要で、塩分や糖分の過剰摂取は免疫機能低下につながる可能性があるため、適量を心がけることが大切です。

