胃がんは、早期に見つけられれば完治を目指せる病気です。しかし、初期症状はあいまいで見逃されてしまうことも。手遅れになる前に気づくためのサインや検査の重要性を、矢口メディカル内科・内視鏡クリニックの池宮城先生に聞きました。
※2025年10月取材。
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監修医師:
池宮城 秀和(矢口メディカル内科・内視鏡クリニック)
2007年杏林大学医学部卒業。東京医科歯科大学病院(現・東京科学大学病院)、公立昭和病院消化器内科、国際医療福祉大学三田病院、横浜市立みなと赤十字病院消化器内科 医長、同副部長を経て現職。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医・指導医、日本消化管学会胃腸科専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・指導医、日本肝臓学会認定肝臓専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修修了。
胃がんは完治するのか? どのようにして治療するのか?
編集部
胃がんは治る病気なのでしょうか?
池宮城先生
はい、早期に発見できれば完治が十分に可能です。胃がんはステージⅠ(早期)のうちに見つかれば、内視鏡による粘膜切除や小範囲の手術で根治が期待できますし、現在、治療後の5年生存率は90%を超えるとされています。発見が遅れるほど治療の難易度が上がるため、完治を目指すには早く見つけることが最も重要です。
編集部
主な治療法を教えてください。
池宮城先生
病気の進行状況により異なりますが、早期がんでは内視鏡的治療(EMR・ESD)がおこなわれます。進行している場合は、外科手術で胃の一部または全体を切除します。さらに進行した症例では、化学療法(抗がん剤)や分子標的薬、免疫療法を組み合わせておこなうこともあります。
編集部
内視鏡的治療とは、どのようなものですか?
池宮城先生
口から細い内視鏡を入れて、胃の粘膜にできたがんを電気メスなどで切除する方法です。体への負担が少なく、手術後の回復も早いのが特徴ですね。ただし、がんが進行していると治療の適応とならないことが多く、転移がないごく初期のがんに限られます。
編集部
治療後の再発リスクはありますか?
池宮城先生
治療後5年以内に再発するケースもありますが、定期的に胃内視鏡検査(胃カメラ)を受けることで、再発しても早期に見つけることができます。また、ピロリ菌の除菌も再発予防に有効とされています。
胃がんの初期症状は? 進行した際の症状は?
編集部
胃がんの初期症状には、どんなものがありますか?
池宮城先生
初期の胃がんは多くの場合、無症状です。症状が出てもせいぜい「胃もたれ」「軽い吐き気」「食欲不振」など、よくある胃の不調と区別がつきにくいのが特徴です。しかし、これらが続く場合は、念のため内視鏡検査を受けて自分の胃の状態を確認することが大切です。
編集部
進行すると、どのような症状が表れますか?
池宮城先生
進行した胃がんでは、「みぞおちの痛み」「体重減少」「貧血」のほか、胃からの出血に伴う「吐血」「黒い便(タール便)」などの症状が表れることがあります。これらは腫瘍の増大や粘膜へのダメージを示す重要なサインです。特に吐血や黒い便が見られる場合は、直ちに医療機関を受診する必要があります。
編集部
いわゆる「手遅れ」に近い状態とは、どんな段階ですか?
池宮城先生
胃がんがリンパ節や肝臓、腹膜に転移している状態を指します。この段階になると手術で根治を目指すのが難しくなり、化学療法などで症状を抑える治療が中心となります。
編集部
どんな人が胃がんになりやすいのですか?
池宮城先生
ピロリ菌感染者、喫煙者、塩分の多い食事を好む人、野菜や果物の摂取が少ない人はリスクが高い傾向があります。この中でも、特に発がんリスクが上昇するのは、「ピロリ菌感染者」です。そのため感染が判明次第、すぐに除菌することが胃がんの予防に有効です。また、家族に胃がんの既往がある人も注意が必要です。定期的な検査で早期発見を心がけましょう。

