鉄分を過剰摂取すると現れる症状

鉄は必要以上に吸収されない仕組みになっているため、通常の食事では摂りすぎの心配はほとんどありません。ただし、サプリメントなどで長期に過剰摂取した場合には次のような症状が現れることがあります。
胃の不快感
胃のむかつきや吐き気、嘔吐、便秘、下痢などの消化器症状が現れる可能性があります。
生活習慣病の発生リスク
鉄摂取量と生活習慣病リスクに関する研究において、特にヘム鉄については過剰摂取がメタボリックシンドロームや心血管系疾患のリスクを上昇させるという報告や、総鉄摂取量と、非ヘム鉄摂取量は2型糖尿病発症に関連しないが、ヘム鉄の摂取量の増加が2型糖尿病の発症リスクを高めるという信頼性の高い研究結果があります。
肝機能障害
過剰摂取により体内に蓄積した鉄は、酸化促進剤として組織や器官を損傷し、肝臓、心臓、膵臓など様々な臓器障害を引き起こします。ヘモクロマトーシス(鉄過剰症)といいます。特に慢性肝臓疾患の悪化に及ぼす影響は大きく、また肝臓がんなどの発生リスクを高めます。
鉄欠乏でない人が食事からの摂取に加えて、サプリメント等から鉄を付加的に継続摂取することは避けたほうがよいでしょう。
鉄分の効率的な摂取方法

食品中の鉄は、肉や魚の動物性食品に含まれているヘム鉄と、野菜や海藻などの植物性食品や卵、乳製品に含まれている非ヘム鉄に分類されます。非ヘム鉄は吸収率が低いですが、同時に食べる食品によって吸収率を高めることができます。
ビタミンCと一緒に摂取する
非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に摂取することで吸収率が上がります。ビタミンCは果物や野菜に多く含まれていますが、熱に弱いため、加熱時間を短くしたり、生のまま食べられる果物をデザートにプラスするのもおすすめです。またじゃがいもやさつまいもなどの芋類に含まれるビタミンCは、比較的熱に強いといわれています。組み合わせを工夫し、効率よく摂取しましょう。
動物性たんぱく質と一緒に摂取する
肉・魚・卵などの動物性たんぱく質は、吸収率の低い非ヘム鉄の吸収を助けます。例えば肉や卵と野菜炒めにしたり、お刺身におひたしを組み合わせたり、納豆や冷奴をプラスするのもよいでしょう。もっと手軽に牛乳や豆乳、ヨーグルトをプラスしても、吸収率アップにつながります。
また赤身の肉や魚は動物性たんぱく質と、鉄分を同時に摂取できるためおすすめです。
胃酸の分泌を促す
胃酸は鉄分、特に非ヘム鉄を吸収しやすい形に変える働きがあります。リラックスした状態でよく噛んで食事をとることで、胃酸の分泌が促され、鉄の吸収率向上につながります。
ただし、空腹時に鉄を摂取すると、胃の不快感や吐き気などの症状が出やすい場合があります。胃腸が弱い方は、無理に空腹時を狙わず、食事と一緒に摂取するようにしましょう。また、酢や梅干し、レモンなどの酸味のある食品を料理に取り入れることで、胃酸の分泌を助け、鉄分を効率よく摂取しやすくなります。
「鉄分が多い野菜」についてよくある質問

ここまで鉄分を紹介しました。ここでは「鉄分が多い野菜」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。
鉄分を効率よく摂取できる食材や野菜は何でしょうか?
越川 愛子
食品中の鉄はたんぱく質に結合しているヘム鉄と、結合していない非ヘム鉄に分類されます。ヘム鉄の吸収率は20〜30%と高く、レバーや赤身の肉、赤身の魚(いわし、まぐろ、かつおなど)、貝類(あさり、しじみなど)に多く含まれています。
非ヘム鉄は、野菜(小松菜、ブロッコリーなど)、海藻(ひじき、のりなど)、卵、乳製品などに含まれています。吸収率は約5%と低いですが、共存する食品成分の影響を受け、ビタミンCや動物性たんぱく質を同時に摂取することで上がります。特定の食品に偏らず、ヘム鉄と、非ヘム鉄をバランスよく摂ることが大切です。いろいろな食品から摂取することを意識してみましょう。
また効率よく摂取するには、吸収を妨げる食品を避けることも重要です。コーヒーなどに含まれるカフェイン、穀物に含まれるフィチン酸、ほうれんそうなど野菜に含まれるシュウ酸、お茶やワインに含まれるタンニンは同時に摂取することで鉄の吸収率が下がります。コーヒーや緑茶などの飲み物は、食事中や食直後の摂取は控え時間を空けたり、カフェインやタンニンを含まない麦茶にしたりするとよいでしょう。シュウ酸は水に溶けやすいため、ゆでたり、水にさらすことで影響を軽減できます。
まとめ
鉄は人体の構成に欠かすことのできない栄養素です。体内で合成できないため食物から摂取する必要がありますが、吸収率が低く不足しやすい特徴があります。しかし摂取のタイミングや、組み合わせを工夫することで吸収率を上げたり、不足を補うことが可能です。毎日の食事に色々な食品から意識的に摂り入れることで、鉄分以外の栄養素もバランスよく摂ることができます。なおサプリメントは不足を補うものとし、使用の際は用法用量を守り過剰摂取には注意しましょう。
「鉄分」と関連する病気
「鉄分」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
内科の病気
鉄欠乏性貧血ヘモクロマトーシス「鉄分」と関連する症状
「鉄分」と関連している、似ている症状は16個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
鉄分に関連する症状
疲れやすいだるい
動悸息切れ
記憶力・集中力の低下
気分の落ち込み
意欲の低下
立ちくらみめまい爪が割れやすい
胃の不快感
便秘下痢
嘔吐参考文献
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討報告書(厚生労働省)
食品成分データベース
令和6年国民・健康栄養調査の概要(厚生労働省)
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