
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
デュビンジョンソン症候群の概要
デュビンジョンソン症候群とは、遺伝子の異常によって体内のビリルビン値が上昇する疾患です。1954年にデュビンとジョンソンという医師によって報告されました。
デュビンジョンソン症候群は、ほとんどが若年の成人に発症しますが、まれに乳児期に発症するケースもあります。また、発症頻度として男女比はほとんど同程度であるものの、男性の場合は女性よりも早い時期に発症する傾向にあります。
また、発症者は世界中で確認されていますが、特にユダヤ人や北アフリカ、ポルトガル、スペイン系に多く認められています。国内では、約2万人に一人の確率で発症するといわれています。
デュビンジョンソン症候群で異常値をきたすビリルビンは、赤血球に含まれるヘモグロビンが分解されるときに生成される物質です。
ビリルビンは、健康な人でも赤血球が壊れたり再生したりするプロセスの過程で作られます。通常、体内で作られたビリルビンは血液に乗って肝臓まで運ばれ、胆汁の中に流れ込んで消化管へと移行し、最終的に体外へ排泄されます。
デュビンジョンソン症候群では、遺伝子の異常によってビリルビンを運ぶ蛋白の機能が障害され、胆汁の流れが滞って血液中のビリルビン値が高くなります。しかし、ビリルビン値が高い場合に生じやすい「黄疸」などの症状を認めることは少なく、無症状で経過することが多い傾向にあります。また「肝硬変」などの重篤な疾患に進展するリスクも少ないため、一般的に特別な治療はおこなわれません。
しかし、軽度の黄疸を認め胆汁のうっ滞が慢性化している場合には、症状に応じて薬物療法がおこなわれることがあります。
無症状で経過する場合でも、女性の場合には妊娠やホルモン治療などホルモンバランスの変化によって黄疸が出現するケースもあるため、注意が必要です。

デュビンジョンソン症候群の原因
デュビンジョンソン症候群は「ABCC2」と呼ばれる遺伝子の異常(変異)が原因で発症することがわかっています。
ABCC2遺伝子は、肝臓の細胞からビリルビンを運ぶ「MRP2」という蛋白の産生に深く関わっています。そのため、ABCC2遺伝子に異常が生じると、MRP2の機能が低下することがあります。その結果、ビリルビンが正常に運ばれず、肝臓の細胞内に蓄積することでビリルビン値が高くなり、デュビンジョンソン症候群を発症することがあります。
遺伝する形式は「常染色体劣性遺伝」で、両親から一つずつ受け継ぐ遺伝子がいずれもABCC2遺伝子変異である場合、その子どもにも遺伝する可能性があります。

