“封筒貯金”の中身が消えた?→気のせいにした小さな違和感|封筒貯金が消えた話

“封筒貯金”の中身が消えた?→気のせいにした小さな違和感|封筒貯金が消えた話

「気のせい」にして飲み込んだ疑問

悔しい

夕方、健太が帰宅し、いつも通り3人で夕飯を囲む。莉子が保育園での出来事を一生懸命話し、健太が相槌を打つ。穏やかな、いつもの食卓。それでも、恵の頭の片隅には、封筒のことが残っていた。

寝かしつけを終え、リビングで一息ついたとき、恵は意を決して口を開く。

「ねえ……」

健太はテレビを見ながら、軽く振り向く。

「なに?」
「今日、封筒貯金を確認したら……ちょっと少ない気がして」

健太は一瞬、きょとんとした顔をした。

「封筒貯金?」
「あの、諸経費用の……」
「ああ」

思い出したように頷いた健太は、すぐに肩をすくめる。

「忘れただけじゃない? 今月分、まだ入れてなかったとか」

その言葉に、恵は言葉を詰まらせた。

「……そう、かも」

確かに、完璧な自信はない。家事や仕事に追われて、後回しにしていた可能性もある。

「最近忙しそうにしてたしさ、ね?」

健太はそう言って、あまり深く考えていない様子だった。

「だよね」

恵は笑顔を作って頷いた。それ以上、話を広げるのはやめた。夫を疑っているように思われたくなかったし、自分の記憶も曖昧だ。

(私の勘違いかもしれない)

そう思うことで、納得しようとした。けれど、布団に入って目を閉じても、封筒の感触が頭から離れない。

(本当に、忘れただけ……?)

胸の奥に、小さなモヤモヤが残ったまま、恵は静かに目を閉じた。それが、この家族に訪れる違和感の始まりだとは、まだ、この時は気づいていなかった。

あとがき:小さな違和感は、見過ごせないサイン

この話は、大きな事件から始まりません。ほんのわずかな違和感を、「気のせい」「忘れただけ」と飲み込んだところから始まります。

信頼している相手だからこそ、疑うことにブレーキがかかる。恵の迷いは、決して弱さではなく、家庭を守ろうとする優しさでもあります。
けれど、その優しさが、後にどんな選択を迫るのか。この先、封筒貯金の行方とともに、家族の在り方が静かに問われていきます。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています

イラスト:まい子はん

記事作成: tenkyu_writing

(配信元: ママリ

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