どんな装置を使う? 期間や費用は? 予防矯正のそのほかのQ&A
編集部
予防矯正では、具体的にどのようなことをおこなったり、どんな装置を使ったりするのでしょうか?
昌山先生
お子さんの歯並びの状態に応じて、いくつかの方法を組み合わせます。例えば、顎を広げてスペースを作る場合は、「拡大床」(写真[下])という取り外し式の装置を使うのが一般的です。

お子さんが自分でつけられそうにない場合や、確実に顎を広げたい場合は、固定式の拡大装置(写真[下])を選ぶこともあります。
また、出っ歯や受け口など顎の位置にズレがあるケースでは、お口周りの筋肉や顎の動きを利用して歯並びや顎を整える「機能的矯正装置」(写真[下])を使用します。
編集部
装置をつける以外におこなうことはありますか?
昌山先生
指しゃぶりや舌のクセなど、日常のクセが歯並びや噛み合わせに影響している場合は「MFT(口腔筋機能療法)」というトレーニングを同時におこないます。これは、レッスン形式で正しい舌の位置や使い方、飲み込み方などを身につけてもらうものです。また、出っ歯で唇の筋力が弱いお子さんには、唇のトレーニングも取り入れます。MFTはすぐに効果が出るものではありませんが、装置と同様にお子さんの協力が不可欠なので、ご家庭でも保護者と一緒に取り組んでもらいます。
編集部
予防矯正の治療期間や通院頻度は、一般的にどのくらいでしょうか?
昌山先生
治療期間はケースによって差がありますが、目安としては1~2年程度が多い印象です。なかには1年未満で終わる場合もありますが、受け口など成長の影響を大きく受けるケースではもう少し時間がかかることもあります。通院頻度は基本的に「1カ月に1回」が目安です。装置や治療状況によっては2カ月に1回になることもありますが、間隔が空きすぎるとお子さんのモチベーションが下がってしまうため、あまり長く空きすぎないようにしています。
編集部
予防矯正にかかる費用の目安を教えてください。
昌山先生
健康保険が適用されないため、費用は受診する歯科医院や治療内容、装置によって異なります。目安としては20万~35万円程度と幅があり、さらに通院ごとの調整料が必要になる場合があります。また、本格矯正が必要になった場合、予防矯正にかかった費用の一部を差し引く制度を設けている歯科医院もあります。こうした料金体系は歯科医院ごとに異なるため、費用の内訳や将来的な費用についてもしっかり確認しておくことが大切です。
編集部
最後に、読者へメッセージをお願いします。
昌山先生
予防矯正の大きなメリットは、仮にそれだけで治療が完結しなかった場合でも、本格矯正が必要になった際の負担を軽くできる点です。必要な時期を逃してしまうと、結果的に治療のゴールを妥協せざるをえないこともあるため、歯科医とよく相談し、納得したうえで判断してもらいたいと思います。また、この治療はお子さんの協力が不可欠です。子ども任せにせず、保護者が一緒に伴走するような気持ちで関わっていくことが、予防矯正をうまく進めるうえで大切なポイントです。親子で根気よく進めていきましょう。
編集部まとめ
子どもの予防矯正は単に歯並びを整えるのではなく、成長の力を利用して将来の健康な口元を育むための「土台作り」であることがわかりました。適切な時期にアプローチすることで永久歯がきれいに並ぶほか、将来的に本格矯正が必要な場合でも治療の負担が軽減できます。一方で、治療は長期戦となるため、保護者のサポートが欠かせません。お子さんの歯並びで少しでも気になることがあれば、永久歯が生え変わる前に一度歯科医院で相談してみましょう。

