「2030年に全疾患領域でリーダーへ」―J&J新社長が語る日本市場への期待と薬価制度の課題

「2030年に全疾患領域でリーダーへ」―J&J新社長が語る日本市場への期待と薬価制度の課題

注力する疾患領域

がん領域:多発性骨髄腫と固形がん

同社がオンコロジーとイミュノロジーに注力する理由について、「ブレークスルー・サイエンス(ある疾患に対する効果的な治療法や新しい薬剤についての科学的な進展)が起きている場所であり、かつ最も満たされていない医療ニーズが残されている領域だからです」とリーガー社長は理由を説明します。

多発性骨髄腫(血液のがんの一種)では、すでに市場で実績のあるダラツムマブに加え、テクリスタマブとトアルクエタマブという二つの新しいバイスペシフィック抗体(二重特異性抗体:がん細胞と免疫細胞の二つの標的に同時に結合して効果的にがん細胞を攻撃できる抗体医薬)を投入。「アンメットニーズが非常に高いため、多発性骨髄腫の領域で高い評価を得ています」と手応えを語ります。

固形がんでは、従来の前立腺がんに加え、肺がんとぼうこうがんに新たに参入しました。肺がん治療薬のアミバンタマブとラゼルチニブメシル酸塩水和物の併用は「腫瘍内科医から非常に好評です」と述べています。また、ぼうこうがん治療薬バルバーサは同社初のぼうこうがん領域への参入製品です。

免疫領域と希少疾患

免疫領域については「この分野には相当の歴史があります」とリーガー社長は述べ、炎症性腸疾患(IBD)と乾癬での画期的な進展に期待を示しました。また、希少疾患の領域でも既存事業の継続と新製品の導入を進めていく方針です。

今後登場する革新的治療法

リーガー社長は、今後1年以内に日本市場に投入予定の製品についても言及しました。特に注目されるのが、ぼうこうがん向けのデバイス・薬剤複合型の局所療法「ゲムシタビンぼうこう内システム TAR-200」と、乾癬に対する「経口ペプチド剤イコトロキンラ」です。

「デバイスと薬剤を組み合わせた局所療法であるTAR-200は、治療選択肢が極めて限られているぼうこうがん治療に変革をもたらす可能性が、そして、IL-23受容体を選択的に阻害する初の経口ペプチドであるイコトロキンラは、症状コントロールに加えて治療の利便性を飛躍的に高める可能性を秘めています」とリーガー社長は説明します。

日本の薬価制度への提言

イノベーションのスピードに追いつかない制度

リーガー社長は、日本の医薬品政策について踏み込んだ提言を行いました。「世界で医療イノベーションのペースが加速する中、日本は取り残されてはなりません」と警鐘を鳴らします。

具体的な問題として、新薬評価システムが新しい治療の価値を適切に評価できていないことを挙げました。「例えば、異なる細胞療法において遺伝子発現の違いから劇的な臨床効果の差が生じる可能性がありますが、現行システムでは評価に差がありません」と具体例を示して説明しました。

安定した薬価環境の必要性

リーガー社長は、新薬の初期薬価設定における価値に基づく評価と、特許期間中の安定した薬価の維持が必要だと主張します。「予測可能で安定した薬価環境があれば、日本のエコシステムにイノベーションを呼び込むことができます」と述べました。

医療は国家の「投資」

リーガー社長は医療を「コスト」ではなく「投資」として捉える視点の転換を提唱しました。「医療イノベーションは患者さんの治療成果を改善するだけでなく、波及効果を通じて日本経済を強化する可能性があります」と強調します。

精密医療や新しい治療手段を支援することで、医療制度の他の分野でコスト削減ができる可能性や、産業周辺での雇用創出、経済への好影響が期待できると説明しました。

配信元: Medical DOC

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