
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、「サンデーうぇぶり」で掲載中の『ラストカルテ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―/第22話キタキツネ』を紹介する。『洗脳執事』(共に小学館刊)で知られる作者の浅山わかびさんが、9月2日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、2000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、浅山わかびさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■防獣ネットに引っかかった子ギツネとそばにいる親ギツネ

高校生の当麻健匠は、授業中にキツネを見つける。そのキツネは耳が切れており、野生のなかでも猛者だということが伺えた。食事となるもののありかや、信号が青になってから渡るなどを理解しているキツネを見て、当麻は頭がいいと感心する。
その後同級生の茨戸爽介と歩いていると、当麻は犬か猫か子どもの声を聞きつけた。その方向へ向かった2人が見つけたのは、防獣ネットに引っかかったキタキツネ。その近くには、授業中に見つけた母親らしきキツネの姿も。キツネを助けるために準備をして戻った2人だったが、そこで見つけたのはキツネにとって毒となる玉ねぎで…。
本作を読んだ人たちからは、「親ギツネの行動が切ない」「当麻の動物に対する姿勢が好き」「安楽死させようとしてたのか」「映ーえクーヘンに持ってかれた」など、多くのコメントが寄せられている。
[HEAD]作者・浅山わかびさん「「愛情」というものに注目してほしい」[/HEAD]

――『ラストカルテ/第22話キタキツネ』のお話の発想の源はどこだったのでしょうか?
はじめにイヌのタマネギ中毒の話を描きたいと思いました。当時、『ラストカルテ』の季節が冬だったので、食べるものが少なくなっている野生動物の過酷さも描きたいと思い、キタキツネの話にしようと思いました。キツネはイヌ科なので、タマネギ中毒とも結びつけるかと。北海道の実家の畑によく来ていたキタキツネが利口だったのを思い出し、無理な話ではない範囲の内容で進めました。
――本作では、親ギツネが子ギツネに愛情から玉ねぎを与えようとしたシーンが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
質問でおっしゃっているように「愛情」というものに注目してほしいです!このマンガに親の行動を読み取ったモノローグがなければ残酷なお話として読めたかもしれません。「愛情」に種類や幅があるよなぁと共感していただければ嬉しいです。あとこれは絵的な話ですが、北海道の冬は空がグレーな色をしてます。それを表すのにほぼ全ページにトーンを置いて雪を白抜きしているのが、画面は暗くなりますけど雰囲気が掴めてていいなと思ってます。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
最後のページです。最後まで読んでいただいてこのマンガの本質がわかるような気がするからです。
――本作は法獣医学者をテーマにした作品ですが、ストーリーを考えるうえで気をつけていることや意識していることなどについてお教えください。
意識していたことは、キャラの行動・セリフが不謹慎にならないこと、かといってギャグのようなテンポを入れないと重くなるテーマなので隙あれば入れること。今回のキツネの話ではほとんど真面目テンポですけど(笑)法獣医学というテーマなので必ずと言っていいほど「死」の描写があります。その中で「どう暗くならずにキャラの魅力的を上げつつ話を進めるか」を考えてました。あと毎朝、動物関係の資料や論文などをひとつ読むようにしてました。論文は難しくて何を言っているかわからないことばかりでしたけど、「『ラストカルテ』に出てくるキャラたちはこういう人たちなのだ」とキャラを理解するような意味合いで読んでました。
――浅山さんの作品は、人物や動物だけではなく、風景や小物など細部まで丁寧に描かれているように感じます。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
そこを褒めていただけるのは嬉しいです!風景や小物などはアシスタントさんたちです!綺麗な背景は敏腕アシさんたちのおかげです!時には写真をもとに、時には相談しながら進めていきました。
――今後、挑戦してみたいジャンルやテーマがありましたらお教えください。
今は連載準備中期間です!自分の中で面白いと思えるものを描けていけたらいいなと思ってます!ジャンル、テーマはお楽しみにしていただけると光栄です!
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
また新しい作品も読んでくだされば嬉しいです!頑張ります!

