介護医療院で受けられるリハビリの種類と内容

介護医療院ではさまざまなリハビリテーションサービスが提供されます。ここでは、それぞれのリハビリの種類と内容を解説します。
理学療法
理学療法は、身体機能の回復や維持・向上を目的としたリハビリテーションです。具体的に次のような訓練が行われます。
リハビリ内容 具体的な訓練・目的
基本動作訓練
・寝返り、起き上がり、立ち上がり、座位保持、歩行の練習
・日常生活の基礎動作を安定させる
・麻痺や筋力低下がある場合は平行棒歩行、段差昇降、起立訓練を段階的に実施
筋力・関節の機能訓練
・筋力低下を防ぐ抵抗運動
・関節可動域を広げるストレッチ
・関節拘縮がある場合は他動運動で柔軟性を向上
・痛みや変形の予防
バランス・体幹機能訓練
・マット上での起き上がり練習
・座位・立位でのバランストレーニング
・転倒しにくい身体づくりを目的
理学療法の大きな目的は、利用者が可能な限り自分の身体で動けるようにすることです。また身体を動かすこと自体が利用者の気分転換や意欲向上にもなり、健康管理の一環としても重要です。
作業療法
作業療法は、日常生活動作や手工芸・趣味活動など作業を通じて心身機能の回復を図るリハビリです。介護医療院で行われる作業療法の内容は多岐にわたります。例えば、以下のような取り組みがあります。
作業療法の内容 具体的な取り組み・目的
ADL動作訓練
・食事、更衣、整容、排泄、入浴など日常生活動作の練習
・片手での着替え練習など身体状況に応じた訓練
・自助具(特殊スプーンなど)を用いた食事動作練習
手工芸・創作活動
・折り紙、塗り絵、編み物、工作など
・手先の巧緻性や認知機能の維持
・脳の活性化、達成感や楽しみの提供
趣味活動の支援
・園芸、書道、音楽など個々の趣味を活用
・過去の仕事や生活歴に合わせた活動
・意欲向上、リハビリ参加意識の向上
特別な運動だけでなく、日常のあらゆる行為をリハビリの場ととらえ、利用者の残存能力を活かしつつ支援します。介護医療院でも、作業療法を通じて利用者の心身の活性化や生きがいづくりを積極的に行っています。
言語聴覚療法
言語聴覚療法は、コミュニケーションと言語機能、嚥下機能の維持・改善を図るリハビリです。介護医療院の入所者には脳卒中の後遺症で言葉が出にくい方、認知症で言語表現が難しくなっている方などが多くいます。言語聴覚療法では、そうした方々に対し以下のような訓練や支援を行います。
訓練・支援内容 具体的な取り組み・目的
失語症・構音障害の訓練
・絵カードや発声練習による言語表出訓練
・口唇・舌の運動訓練で構音を改善
・意思伝達を助け、ストレス軽減や対人交流を促進
高次脳機能訓練・認知課題
・計算、読み書き、記憶ゲームなどの課題
・注意力・記憶力の維持と向上
・会話、歌唱、回想法による非薬物療法的アプローチ
嚥下訓練
・嚥下体操や発声練習
・とろみ食・ゼリーを用いた実践的訓練
・安全な経口摂取の維持
・誤嚥性肺炎の予防
言語や飲み込みは日常生活の質に大きく関わる機能です。話せる・食べられる喜びを維持するために、言語聴覚療法は介護医療院でも重要な役割を果たしています。
生活リハビリ
生活リハビリとは、特別なリハビリの時間だけでなく日常生活そのものをリハビリの場ととらえて能力維持を図る取り組みです。生活リハビリの具体例としては下記のとおりです。
生活リハビリの内容 具体的な取り組み・ポイント
日常動作の促し
・食事、着替え、トイレ、歯磨きなどを全介助にしない
・できる部分はご本人に実施してもらう
・「一部介助」で自立を引き出す関わり
移動・起居のサポート
・ベッドから車椅子への移乗を見守り中心で支援
・居室から食堂への歩行移動を日常的に実施
・転倒に配慮しつつ身体機能を使う機会を確保
日課への参加
・歩いて食堂へ行き食事をとる
・レクリエーションへの参加
・入浴・排泄動作の一部を自身で行う
・日常の流れそのものをリハビリとして活用
介護医療院でも、利用者の残存能力を把握してケアを心がけることで、長期療養中の心身機能悪化を防いでいます。
介護医療院のリハビリ専門職と配置基準

介護医療院では上述したようなリハビリを提供するために、リハビリ専門職が配置されています。ここでは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士という3つの専門職の役割と、介護医療院における配置基準を解説します。
理学療法士
理学療法士(PT)は、主に身体機能のリハビリを担当する専門職です。前述の理学療法の項で触れたように、基本動作訓練や筋力増強、歩行練習などを行います。理学療法士は医師の指示のもと、利用者一人ひとりの身体状況を評価しリハビリ計画を立案・実施します。配置基準に関して、介護医療院では理学療法士を含むリハビリ専門職の具体的な配置人数は適当数とされています。法律上は明確な人数比の規定がなく、各施設が入所者数や状態に応じて必要な人数を配置することになっています。
作業療法士
作業療法士(OT)は、日常生活動作や応用的な活動を通じたリハビリを担当する専門職です。前述の作業療法の項で説明したように、食事や更衣動作の訓練、手工芸レクリエーション、環境調整など幅広い支援を行います。配置基準については、理学療法士と同様に作業療法士の法定配置数も決められていません。そのため、施設ごとに配置状況はさまざまですが、リハビリ体制を重視する施設ではPTとOTを両方配置しています。
言語聴覚士
言語聴覚士(ST)は、コミュニケーションと嚥下機能のリハビリ専門職です。言語訓練や嚥下訓練などを行い、利用者が話す・聞く・食べるといった基本的欲求を満たせるよう支援します。配置基準に関して、ほかのリハ職と同様に言語聴覚士の配置数も施設裁量となっています。実際には、病院併設型の介護医療院などで言語聴覚士を共有しているケースもあり、常勤でなく非常勤で週数回巡回してくる形をとることもあります。

