腸間膜静脈血栓症の前兆や初期症状について
腸間膜静脈血栓症は、初期症状が非常にあいまいで分かりにくい疾患です。
典型的な症状である腹痛も、急激な激痛ではなく鈍い痛みや違和感から始まることが多いです。痛みの部位もおへその周り、みぞおち、上腹部などさまざまで、腹部全体がなんとなく痛むような漠然とした感覚として現れることもあります。また、初期段階ではお腹を押しても強い圧痛や腹筋の硬直(筋性防御)が見られないことが多いです
吐き気や嘔吐、下痢、食欲不振、腹部膨満感といった症状も見られることもありますが、一般的な胃腸関連の疾患とほとんど区別がつきません。
腸管の虚血が増悪すると、症状は急速に悪化します。腸壁の壊死や穿孔が起こると、激しい持続性の腹痛とともに強い圧痛や反跳痛が現れ、腹部は板のように硬くなります。さらに、下血が現れるほか、腹腔内や腸管内の空気と共に細菌などが漏れ、腹膜炎、重症感染症、ショックなどを引き起こして急激に全身状態が増悪し、命に関わる危険性も高くなります。
腸間膜静脈血栓症の検査・診断
腸間膜静脈血栓症では、造影CT検査、I超音波検査、MRI検査、血液検査が行われます。
造影CT検査
造影CT検査では、造影剤を用いることで腸間膜静脈内の血栓を明確に確認でき、腸管壁の浮腫や虚血所見、腹水の有無なども評価できます。特に「門脈相(もんみゃくそう)」と呼ばれる造影剤注入後のタイミングで撮影した画像が診断に有用です。
超音波検査(腹部エコー)
超音波検査は放射線被曝がなく簡便ですが、腸間膜の深部静脈の描出は難しく、腸管ガスが多い場合は評価困難です。門脈や肝臓に近い静脈の血栓であれば確認できることがあります。治療後の経過観察に有用です。
MRI検査
MRI検査は状態が安定している場合に使用されます。静脈血栓の描出に有効で、造影剤を使わなくても明確に描像できるのが特徴です。しかし、緊急時には時間がかかること、遠位の細い血管の描出は造影CT検査に劣ることから第一選択とはなりません。造影CT検査ができない場合の代替検査として検討されます。
血液検査
腸間膜静脈血栓症に特異的な検査項目はありませんが、Dダイマーや炎症反応(白血球数・CRP)の上昇、重症例では乳酸値の上昇などが見られることがあります。

