慢性リンパ性白血病の発症メカニズムは、リンパ球の成熟過程における異常が関与しています。正常なリンパ球と異常なリンパ球の違いや、骨髄機能への影響について説明します。異常なリンパ球が蓄積することで、正常な血液細胞の産生がどのように妨げられるのか、そのプロセスを詳しく解説します。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
滋賀医科大学医学部卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科
リンパ球の異常増殖が起こる仕組み
慢性リンパ性白血病の発症メカニズムは、リンパ球の成熟過程における異常が関与しています。正常な免疫機能との違いを理解することで、病気の本質を捉えることができます。
正常なリンパ球と異常なリンパ球の違い
慢性リンパ性白血病では、Bリンパ球と呼ばれる白血球の一種が異常に増殖します。正常なBリンパ球は、細菌やウイルスなどの病原体に対して抗体を産生し、免疫システムの重要な役割を担っています。しかし、慢性リンパ性白血病では、成熟過程にあるBリンパ球に異常が生じ、制御されずに増殖し続けるようになります。
正常なリンパ球は、一定の寿命を持ち、老化や死滅のプロセスを経て体内から除去されます。しかし、異常なリンパ球はこのプロセスを経ずに蓄積していきます。増殖速度自体は速くないものの、長期間にわたって蓄積することで、血液中や骨髄、リンパ節、脾臓などに大量の異常細胞が集まります。
異常なリンパ球は形態的には正常な細胞に近い外見を持つことが多いですが、機能的には正常な免疫応答を行うことができません。このため、患者さんは感染症にかかりやすくなったり、重症化しやすくなったりすることがあります。また、異常なリンパ球が増えることで、正常なリンパ球や他の血液細胞の産生や機能が妨げられる結果となります。
骨髄機能への影響と血液細胞の変化
異常なリンパ球が骨髄に蓄積すると、正常な血液細胞の産生が妨げられるようになります。骨髄は赤血球、白血球、血小板などの血液細胞を産生する重要な臓器ですが、異常なリンパ球が骨髄内のスペースを占拠することで、正常な造血機能が圧迫されます。
赤血球の産生が減少すると貧血が生じ、疲労感や息切れ、めまいなどの症状が現れます。貧血の程度は個人差がありますが、進行すると日常生活に支障をきたすこともあります。また、正常な白血球の産生も減少するため、感染症への抵抗力が低下します。特に好中球という細菌感染に対抗する白血球が減少すると、細菌感染のリスクが高まります。
血小板の減少により、出血しやすくなったり、あざができやすくなったりすることもあります。血小板は止血に重要な役割を果たしているため、その減少は出血傾向を引き起こします。重度の血小板減少では、自然出血のリスクも高まります。
骨髄機能の低下は病気の進行度を反映する重要な指標となります。定期的な血液検査と骨髄検査により、骨髄機能の状態を評価し、治療の必要性や時期を判断します。早期の段階では骨髄機能が保たれていることが多く、進行に伴って徐々に低下していきます。
まとめ
慢性リンパ性白血病は、緩やかに進行する血液のがんであり、初期には症状が現れにくいことが特徴です。リンパ節の腫れや疲労感、微熱などの症状に気づいた際は、早めに医療機関を受診することが大切です。これらの症状は他の疾患でも見られるため、自己判断せず専門家の評価を受けることが重要です。
治療法は近年大きく進歩しており、分子標的薬により副作用を抑えながら効果的な治療が可能になっています。治療中は副作用への対策や感染症予防が重要であり、医療チームと密に連携することが推奨されます。治療後も定期的な経過観察を継続し、再発の兆候を早期に捉えることが大切です。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、症状や治療方針には個人差があります。気になる症状がある場合は、自己判断せず、必ず医療機関で医師にご相談ください。
参考文献
国立がん研究センター がん情報サービス「慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫」
NPO法人キャンサーネットジャパン「慢性リンパ性白血病」
J-Stage「慢性リンパ性白血病の診断と治療」

