●犯行をやめるタイミングに注意
特殊詐欺グループの典型的な流れは次のとおりです。
(1)かけ子が電話で被害者をだまし、キャッシュカードを用意させる
(2)受け子が訪問し、キャッシュカードを封筒に封印させる
(3)受け子が印鑑を取りに行かせる隙に、トランプ入りの封筒とすり替えて盗む
この流れでは、かけ子の電話で被害者がだまされた時点で下地ができ、受け子が被害者宅に接近すれば、もはや被害発生の危険性は高いといえます。
今回のケースでは、被害者宅に訪問し、インターホンも押しているため、窃盗未遂罪の成立が認められるのは明らかです。
一見、特殊詐欺は「詐欺罪」で処理されると思われがちですが、手口によっては窃盗罪になります。
特に「すり替え盗」では、被害者宅に到着する前から窃盗未遂罪が成立する可能性が高いのです。犯行をやめて、踏みとどまるタイミングに注意が必要です。
【取材協力弁護士】
澤井 康生(さわい・やすお)弁護士
警察官僚出身で警視庁刑事としての経験も有する。ファイナンスMBAを取得し、企業法務、一般民事事件、家事事件、刑事事件などを手がける傍ら東京簡易裁判所の非常勤裁判官、東京税理士会のインハウスロイヤー(非常勤)も歴任、公認不正検査士試験や金融コンプライアンスオフィサー1級試験にも合格、企業不祥事が起きた場合の第三者委員会の経験も豊富、その他各新聞での有識者コメント、テレビ・ラジオ等の出演も多く幅広い分野で活躍。陸上自衛隊予備自衛官(2等陸佐、中佐相当官)の資格も有する。現在、早稲田大学法学研究科博士後期課程在学中(刑事法専攻)。朝日新聞社ウェブサイトtelling「HELP ME 弁護士センセイ」連載。楽天証券ウェブサイト「トウシル」連載。毎月ラジオNIKKEIにもゲスト出演中。新宿区西早稲田の秋法律事務所のパートナー弁護士。代表著書「捜査本部というすごい仕組み」(マイナビ新書)など。
事務所名:秋法律事務所
事務所URL:https://www.bengo4.com/tokyo/a_13104/l_127519/

