小腸がんの治療法
小腸がんと診断された場合、病気の進行度(ステージ)に応じて最適な治療法が選択されます。基本的な治療の柱は手術ですが、早期であれば内視鏡治療、進行がんや再発がんには抗がん剤治療やその他の薬物療法が行われます。以下に主な治療法を解説します。
内視鏡治療
小腸がんがごく早期で粘膜の表層にとどまっている場合、内視鏡による切除が可能なことがあります。特に十二指腸の入口に近い部分で腫瘍が見つかった場合、内視鏡で内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)によって腫瘍を切除できます。これは開腹手術をせずに内視鏡下でがんを取り除く方法で、患者さんの負担が少ない治療です。
手術
手術は、小腸がんの標準的な治療法です。ステージⅠ〜Ⅲのリンパ節転移がないか限定的な範囲であれば、根治手術によって治癒を期待できます。具体的には、腫瘍を含む小腸の患部とその所属するリンパ節もまとめての切除です。十二指腸の腺がんで十二指腸乳頭部に近い場合は、膵臓や胆管を含めた切除を行う場合もあります。ステージⅠ〜Ⅲでは手術が主たる治療となり、可能な限り腫瘍を取り切ることを目指します。
抗がん剤による薬物療法
抗がん剤による薬物療法は、小腸がんが進行して手術では治癒切除が難しい場合や、手術後に再発した場合に行われます。小腸がんは希少ながんのため治療法の確立が遅れていましたが、近年の研究で大腸がんの抗がん剤が有効であることが分かり、現在は大腸がんと同様の治療をすることが一般的です。例えばFOLFOX療法(5-FU系薬+オキサリプラチン)やCAPOX療法(カペシタビン+オキサリプラチン)といった大腸がん標準治療が、小腸がんの進行例にも適用されます。日本でも2018年からステージⅣまたは再発小腸がんに対してFOLFOX療法が保険承認され、使用可能となりました。
免疫チェックポイント阻害薬による薬物療法
近年は免疫チェックポイント阻害薬が小腸がんの一部に有効な場合があることがわかってきました。手術や抗がん剤治療が行えない方の新たな治療の選択肢となっています。このように、進行・再発小腸がんに対しても徐々に治療の幅が広がってきているのです。希少ながんゆえ治療研究の歴史は浅いですが、国内外で臨床試験が進行中であり、今後さらなる新薬の登場が期待されます。
「小腸がん」についてよくある質問
ここまで小腸がんについて紹介しました。ここでは「小腸がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
小腸がんの生存率はどれくらいなのでしょうか?
齋藤 雄佑 医師
小腸がんの5年生存率(診断から5年後に生存している割合)はステージ(病期)によって大きく異なります。国立がん研究センター中央病院でのデータによれば、腺がんの場合でステージⅠは約80~85%、ステージⅡで約78~86%、ステージⅢAで約52%、ステージⅢBでは約21%と報告されています。
小腸がんは希少がんに分類されるのでしょうか?
齋藤 雄佑 医師
はい、小腸がんは典型的な希少がん(まれながん)です。希少がんの定義は「患者数が少なく診断や治療の確立が難しいがん」で、国際的には人口10万人あたり年間発症6人未満とされています。小腸がんはまさに該当しており、日本でも発症率が非常に低い希少ながんの一つです。

