
猫の避妊・去勢手術が重要視されている理由は?(画像はイメージ)
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2月22日は「猫の日」です。猫を飼い始めた人の中には、避妊・去勢手術の必要性を感じつつも、決断できずに迷っている人もいると思います。ネット上では「元気な体にメスを入れるのはかわいそう」という切実な声も上がっています。しかし、そもそもなぜ、猫の避妊・去勢手術は重要視されているのでしょうか。獣医師の椿直哉さんに聞きました。
「手術を受けた猫の方が平均寿命が高い」というデータも
Q.そもそも、猫を飼う際、猫の避妊・去勢手術は必要なのでしょうか。もし避妊・去勢手術を受けさせないまま猫を飼った場合、どのようなデメリットが生じる可能性があるのでしょうか。
椿さん「メス猫の場合、避妊手術は『乳腺腫瘍』の予防になります。乳腺腫瘍はメス猫の病気で最も多く見られます。高齢になってから発症するとほとんどが悪性になり、一度発症すると腫瘍の全てを取り切ることは困難です。これを予防する最も効果的な方法が、生後6カ月ごろまでの避妊手術で、この時期までに手術を受けると乳腺腫瘍の発症率を格段に下げられることが分かっています。
一方、オス猫の去勢手術は、人間と一緒に生活する場合は大切です。去勢手術をしないと、壁などあちこちに尿をかける『マーキング(スプレー行動)』をしてしまいます。尿の臭いも強くなるため、発情による猫のストレスだけでなく、飼い主のストレスも強まる可能性があります。
これらのことから、将来的に『子猫を産ませたいか』どうかによって、手術の判断は変わります。繁殖する予定がなく、『少しでも長生きしてほしい』『最後まで健康に暮らしてほしい』というのであれば、できるだけ早いうちに手術を検討してあげましょう。メス猫であれば、乳腺腫瘍のリスクを下げ、将来の病気の発症リスクを下げることができます。オス猫であれば、家の中でのスプレー行動を抑えて、猫と人間双方のストレスを減らすことができます」
Q.避妊・去勢手術をすると、猫の寿命にどのような影響があるのでしょうか。例えば避妊・去勢手術をするのとしないのとでは、猫の寿命にどのような違いがあるのでしょうか。
椿さん「ある研究論文では、『避妊・去勢手術を受けた猫の方が、受けていない猫よりも平均寿命が長い』とされています。オス猫の場合、発情期の衝動が抑えられるので、脱走して外でケンカしたり、感染症をもらったりするリスクを減らすことができます。メス猫の場合は、出産による体力の消耗と、将来、命に関わる病気にかかるリスクを減らすことができる点が大きいです」
Q.ちなみに、避妊・去勢手術をしていない成猫を飼う場合も手術をした方がよいのでしょうか。それとも、手遅れなのでしょうか。
椿さん「成猫になってからでも手遅れということはありません。メス猫であれば、今後発症するかもしれない、子宮や卵巣の病気を回避できます。オス猫も発情によるストレスやケンカによる感染症のリスクを防ぐことができるので、手術は猫にとってプラスに働くといえます。
また、『病気になったら手術すればよいのでは?』という考え方もありますが、例えば10歳を超えてから病気が見つかった場合に、状態によっては『年を取り過ぎて手術そのものができない』ケースがあります。保護猫も、5~6歳であればまだまだ若いです。これから先、安心して暮らしていくための準備として避妊・去勢手術を検討してほしいと思います」
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「健康な体にメスをいれるのはかわいそう」という気持ちは、猫に負担をかけたくないという、飼い主の愛情の表れと言えます。しかし、予期せぬ妊娠による体力の消耗や、将来の重大な病気、脱走による感染などのリスクを考えれば、避妊・去勢手術は猫の健康に欠かせない選択肢と言えます。猫の習性を理解して、愛猫の健康のためぜひ検討してみてください。
