「薬膳」の大らかな部分に惹かれた
そもそもは「薬膳」ではなく、普通の家庭料理を提案する人になりたいと考えていたという。
「憧れていた料理家さんのアシスタント募集を目にして、運良く採用していただけたのが最初でした。社会人生活を通じて感じた、家庭料理は体にうれしいということを伝えたかったのですが、栄養学などを知らない私がどう提案すればいいかと模索していたときに出会ったのが『薬膳』でした」
薬膳は「体力をつけたかったらこれを食べましょう」といった食材提案が中心で、ルールもあまり多くなく、大らかな部分が多い点が、自分の性格に合うと齋藤さんは感じた。
「当時は栄養素などもまったく知らない素人だった私でもわかりやすいと感じましたし、料理のジャンルとかの縛りも何もないので、私の好きな料理を大らかに提案していけそうだと思って、『薬膳いいじゃん!』ってなりましたね」
薬膳を真剣に学び始めたのは12年前で、学校に通って勉強をしたそう。
「東京都内だと歴史がある中医学を勉強できる学校が何校かあるので、自分に合いそうなところに見学に行って、好きな先生を見つけたので、そこに入学しました。でも、今は関連図書とか通信とかもあるので、学びの方法もいろいろありますよね」
「おうち薬膳」という言葉に込めた想い
「薬膳」に関しては、一番古く残っている中医学や薬膳関連の書物が、紀元前のものになるという。
「中国の伝統医学・中医学の考えに基づいた、季節や体調、体質など、食べる人の目的に合った料理というのが薬膳の定義になりますね。中医学の理論自体はアップデートして変わることはあまりないのですが、新しい食材が出てきたり、栄養学が改訂されたりすることに合わせて、薬膳も食材効能は何年かに一度、改訂などが入る場合もあります」
体調や体質といった部分の分類などが難しく、そこで薬膳につまずいてしまう人も少なくない。
「体質などがわからないという方は、季節に合ったものを食べるということを大事にしてほしいです。病気を治すのも素晴らしいですが、病気にならなければより最高だよねというのが中国医学の考え方なので、体調を崩さない体になるためには、旬のものを押さえるというのはポイントです」
齋藤さんは、これまでずっと“おうち薬膳”という言葉を掲げている。家で食べられる、気軽に作れるということを大事にしたいという想いがそこにはある。
「スーパーで買えない食材は基本的には使わないというのは一貫しています。みなさんがスーパーで手に取っている野菜も、実は生薬として配合されていたりするので、そういったことを知っているだけでも、スーパーで買える食材で生薬を手軽に食べられるみたいなことが本当はできるんです」
今の季節でおすすめの食材は、ネギと生姜とのこと。ネギの白い部分と生姜を乾燥させたものは漢方薬にも配合されているそう。
収録の際に試食した「かぼちゃのヨーグルトサラダ」(左)、「豚ひき肉と豆腐の塩麻婆豆腐風スープ」(左)。少ない調味料でやさしい味わいに
「どちらも寒い時期の風邪の引き始めを予防したり治癒したりする薬に入っています。悪寒がしたり体調が怪しかったりするときは料理を作るのも大変なので、私自身も簡単なものにすることが多いです。生姜をすりおろしてお味噌汁入れたりしますね。それも立派な“おうち薬膳”でございます」
(TEXT:山田周平)
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第61回・第62回(1月23日・30日配信) 齋藤菜々子さん
料理家・国際中医薬膳師/飲食店を営む両親のもとに育ち、料理家のアシスタントを務めながら日本中医食養学会・日本中医学院にて中医学を学び、国際中医薬膳師を取得。「今日からできるおうち薬膳」をモットーに、家庭で実践できる薬膳レシピを提案している。著書に『基本調味料で作る体にいいスープ』(主婦と生活社)、『整いカレー』(文化出版局)、『レンチン薬膳ごはん』(家の光協会)など多数。
HP:料理家齋藤菜々子 公式ホームページ
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クックパッド株式会社 小竹 貴子
クックパッド社員/初代編集長/料理愛好家。 趣味は料理🍳仕事も料理。著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』『時間があっても、ごはん作りはしんどい』(日経BP社)など。
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