協業の意義
家庭から医療機関への連携モデル
オムロンヘルスケアは2019年から心電計付き血圧計を販売し、 これまで 47カ国に展開しています。2024年には血圧測定だけで心房細動リスクを検出できる血圧計も欧州で発売しました。野崎氏によると、顧客からは気づかずにいた心房細動が見つかり治療につながったという声が届き始めているといいます。
ハートノート事業の承継により、家庭でのリスク発見から医療機関での精密検査へとスムーズにつなげる体制が整います。野崎氏は、自社の 家庭用血圧計 ユーザーで心房細動が見つかった場合は、ハートノートが導入されている医療機関で検査を受けられる環境を整えていくという具体的な連携策を示しました。
発見から予後管理までのエコシステム構築
オムロンヘルスケアが目指すのは、リスクの発見から検査、診断、治療、そして経過観察までをトータルでサポートするエコシステムの構築です。岡田社長は、家庭で早期発見した際に、そこから先の正しい診断、その後の治療、そして予後管理までしっかりつながっていくことが重要だと述べ、医療機関との接点を作るハートノート事業の意義を強調しました。 小林氏も、間口が広がりさまざま なデバイスでスクリーニングして本当の診断につなげていくという意味で 相乗効果があると評価しました。
岡田社長は、家庭でどれだけユーザーに活用してもらい早期発見につなげるかが非常に重要であり、2030 年に向けて家庭用心電計の50万台販売を目標として事業を進めていくといいます。
今後の展望
全国展開と主要大学との共同研究
ハートノート事業は現在、北海道から沖縄まで全都道府県 の 小さなクリニックから大きな病院まで で採用されている といいます。
研究面では、国立循環器病研究センターを皮切りに、筑波大学、慶應義塾大学、京都大学、大阪大学、九州大学、大分大学など主要大学との共同研究を展開しています。1日約10万拍、7日間で約70万拍の心拍データに加え、デバイスに搭載された加速度計により、立位・座位・臥位 (がい:横たわった状態) などの姿勢データも取得可能です。
蓄積されたデータを活用し、診断から予防領域への展開も進んでいます。小林氏によると、睡眠状態や睡眠時無呼吸症候群を見るアルゴリズムを開発したり、心拍変動から自律神経やストレスを見てうつ病患者向けの指標にしたりするなど、各大学との取り組みを展開しているといいます。
心電図データの活用範囲を広げることで、循環器疾患にとどまらない健康管理への貢献が期待されています。

