●子のいじめで追い詰められた両親は「唯一残された手段だった」
民事上の損害賠償責任を追及されるだけでなく、場合によっては刑事罰が科されることもある。
昨年10月、小学校に通う子どものいじめ被害に悩む都内在住の両親が名誉毀損罪に問われ、それぞれ罰金20万円の有罪判決を言い渡された。
この両親は、同じ小学校に通っていた児童が「いじめに関与している」とする内容のビラを、児童が住む集合住宅の郵便受けに投函し、家族の名誉を傷つけたとして起訴された。
被告人質問で母親は、ビラの投函が「唯一残された手段でした」と述べた。父親も「正しいものではなかった」と反省しながらも「他の行動ができたのかいまだにわからない」と振り返った。
犯行前には、子どもがいじめを悲観して自殺未遂する出来事もあったとされる。
●前科がつけば仕事や生活に影響
東京地裁の宮田祥次裁判官は、数十戸に投函されたビラの内容が児童らの社会的評価を低下させたと認めた。
また、子どもが自殺未遂に至ったことを踏まえ、改めて公的機関に相談に行くなど、両親には他の選択肢もあったと指摘。名誉毀損罪が成立すると判断した。
父親は法廷で、前科がつけば海外渡航できなくなり、仕事や生活に影響が出てしまうとして、無罪を求めていた。
両親は判決を不服として控訴している(取材を求めたが「遠慮したい」ということだった)。
元の被害が適切に“救済”されなければ、不満は告発という形で噴出しやすい。
もちろん、中には社会的意義があるケースもあるかもしれないが、大きなリスクを伴うのも事実だ。
また、注意しなければいけないのは、SNSユーザーに見える情報は、ことの全容を伝えるものとは限らないことだ。
告発は感情を大きく揺さぶるかもしれないが、こうした情報は一面的であることもあり、冷静に向き合う必要がある。
●A子さん「被害者の立場を放棄することになる」
不倫やいじめに限らず、昨年来、学校現場の暴行やいじめ被害をSNS上で告発する動きが盛んとなり、教育現場に混乱も招いている。
先のA子さんは、SNS上の被害告発の動きについて、このように考えを述べる。
「被害や問題を訴えること自体は悪いことではないと思いますが、その過程で自身が結果として違法と判断される行為に及んでしまった場合、被害者の立場を放棄することになるという自覚が必要だと考えます」

