
監修医師:
植田 郁実(医師)
千葉大学医学部卒業。市立豊中病院/大阪大学医学部附属病院で初期研修、淀川キリスト教病院で後期研修。現在は大阪大学医学部附属病院勤務。日本小児科学会専門医。
GM1-ガングリオシドーシスの概要
GM1-ガングリオシドーシスとは、遺伝子の変異によって糖脂質やオリゴ糖、ムコ多糖類などを分解する酵素(βガラクトシターゼ)が欠損し、さまざまな神経症状が出現する疾患です。ライソゾーム病の一種になります。
私たちの体は数十兆もの細胞から成り立っており、一つひとつの細胞が新陳代謝をおこなうことで健康な状態に保たれています。細胞内には栄養を分解して再利用したり排泄したりする「ライソゾーム」が存在しています。
GM1-ガングリオシドーシスでは、βガラクトシターゼの欠損によってライソゾームの機能が低下し、分解されずに残った糖脂質やオリゴ糖などの物質が脳や全身の臓器に蓄積して、中枢神経が障害されます。
また、βガラクトシターゼの欠損にはGLB1の遺伝子変異が関わることがわかっています。
GM1-ガングリオシドーシスは10〜20万人に1人の確率で発症し、発症時期や経過によって「乳児型」「若年型」「成人型」に分類されます。
乳児型では、発達の遅れや音への過剰な反応、筋肉の緊張低下などの症状が見られます。また、目の奥に位置する網膜に、赤い斑点を呈する「チェリーレッドスポット」という所見が確認されることも特徴です。さらに、肝臓と脾臓の腫れや骨格異常などの症状が進行性に現れます。
若年型や成人型は、乳児型に比べて症状の程度が緩やかであるものの、歩行障害や構音障害のほか、身体が勝手に動く「ジストニア」と呼ばれる症状が出現することもあります。
乳児型が最も重症度が高く、3歳までに死亡するケースが多く見られます。また、若年型も学童期に寝たきりになることがあり、成人型の場合にも歩行障害やジストニアによって生活の質が大きく損なわれる可能性があります。
現在のところ、GM1-ガングリオシドーシスに対する有効な治療法は確立されておらず、症状に対する対症療法が中心におこなわれます。
出典:国立研究開発法人国立生育医療研究センター内小児慢性特定疾病情報センター「86.GM1-ガングリオシドーシス」

GM1-ガングリオシドーシスの原因
GM1-ガングリオシドーシスは常染色体劣性遺伝形式を示し、親からの遺伝によって発症します。
発症者は、βガラクトシターゼの機能を調整するGLB1遺伝子などの変異があることがわかっています。遺伝子の変異によってβガラクトシターゼが欠損し、体内にオリゴ糖やムコ多糖、糖脂質などが脳や全身に蓄積し、神経症状などが引き起こされます。
国内では、I51T遺伝子変異とR201C遺伝子変異を持つ患者が多くを占めています。

