夫のマサヒトとは結婚して5年目。可愛い1歳の娘・シホもいて、私たち家族は穏やかな日々を送っている、そう信じていました。夫の趣味はテニス。週末はよくコートに出かけていましたし、私も「体を動かすのは良いことだね」と応援していました。
ある日、ふとリビングのテーブルに置かれたその古い携帯の画面が光ったんです。何気なく視線をやると、通知の表示に、見慣れないアイコンとメッセージが。
「新しいメッセージがあります」
直感的に、嫌な予感がしました。そっと携帯を手に取り、その通知をタップすると、目に飛び込んできたのは、驚くべき言葉でした。
「既婚者向けマッチングアプリ」
頭の中が真っ白になりました。血の気が引いていくのが分かりました。まさか、夫が、こんなものに登録しているなんて。思えば、ここ最近のマサヒトの行動には、いくつか変なところがあったんです。休日のテニスが急に増えたり、いつもより帰りが遅くなったり。以前は気にも留めていなかった些細な変化が、このアプリの存在を知った瞬間、全て繋がっていくような気がしました。
まさかの「夫の裏切り」が発覚した瞬間
「既婚者向けマッチングアプリ」に登録していた夫…。さらに、思い返してみると、最近の夫は外出することが多かったことに気づきます。
夫は、限りなく黒に近い状況ですが、ユリは夫を問い詰めることができず、ぼう然と過ごします。ですが、このまま見過ごすわけにはいきません。ユリは意を決して、夫のスマホをチェック。
するとそこには、数々の不貞の証拠が…。複数の女性とやり取りしているうえに、普段とは違う、裏の顔がさらけ出された夫の姿がありました。
ですがどうやら、夫はユリと離婚を考えているわけではなさそう。異性にチヤホヤされるのが快感となり、クセになっている様子でした。
離婚はしない。けれど…
そんな時、私は信頼できる友人Aと友人Bに、このデリケートな問題を打ち明けることにしました。二人とも、私にとっては本音で話せる大切な友人です。
友人Aは、私の話を聞いて、しばらく考え込んだ後、こう言いました。
「私なら見て見ぬふりかな。だって、ユリちゃん、離婚する気ないんでしょ?子どももまだ小さいし、家庭が壊れるのは避けたいもんね」
そして、こう続けました。
「数年後に、子どもがもう少し大きくなって、もし離婚ってなった時に、今回の証拠を『実はこういうこともしてたよねー😊』って、爆弾落とす程度にするかな。それが一番、賢いやり方じゃない?今、全てを壊す必要はないよ」
友人Aの意見は、私の心に響きました。確かに、今すぐ離婚するつもりはない。家庭内平和を保つこと、子どものことを最優先に考えるなら、一時的に見て見ぬふりをするのも、一つの手なのかもしれない。
一方、友人Bは、私の話を聞くと、眉間にシワを寄せて言いました。
「私なら、絶対に許せない。私も昔、出会い系アプリを数回されたことがあったけど、もちろん問いつめたよ。見て見ぬふりをしてしまったら、バレなかったら大丈夫って思って、絶対に繰り返されそうで、私にはそれはできなかった」
友人Bの言葉は、私の心をチクリと刺しました。確かに、問い詰めなければ、マサヒトは「バレなかったから大丈夫」と、また繰り返すかもしれない。
「私、トークは全てスクショしたし、問い詰める時は録音もした。それで義両親も呼んで家族会議だった。言い訳が本当に言い訳でしかなくて完全に冷めたけど、すぐに離婚できるわけでもなかったから、とりあえず誓約書を書いてもらった。次回何かあった時に離婚するってなった時にも証拠は使えるだろうと思って、全て取ってある」
友人Bの言葉は、私に現実を突きつけました。問い詰めることの怖さ、しかしその先に得られるかもしれない“けじめ”と“次の手”。二人の話を聞いた結果、私はさらに深く悩みました。どちらの意見も、一理ある。どちらの選択が、私にとって、そしてシホにとって、本当に正しいのだろうか。
娘・シホのことを思うと、今すぐ離婚に踏み切ることはできません。そのため、このまま見て見ぬふりをしてやり過ごすか、夫を問い詰めるか…。悩んだユリは、信頼できる友人に相談しますが、真逆のアドバイスをされます。
どちらの意見も一理あるため、ユリはさらに悩みます。ですが、そんなユリに転機が訪れます。

