姉の協力もあり、ぶじに証拠を集めた、真里。ついに、夫の前に証拠を提示し、徹底的に叩きのめすための戦いを始めます。
反撃開始!夫の反応は?
「あやしかったから、探偵を雇った。もう、あなたへの気持ちは一滴も残っていない。慰謝料と、この子のための養育費を全額払って、今すぐこの家を出て離婚してください」
冷徹に告げる私の言葉に、祐介はその場に崩れ落ちました。
彼は子どものように声を上げて泣き始め、
「仕事のストレスがすごくて…逃げ場がほしかったんだ」「魔が差しただけなんだ。君と別れたら僕は死ぬ。離婚だけはしたくない、やり直したい」と、支離滅裂な懇願をくり返しました。
かつて愛した男が、床に頭をこすり付けて土下座をしている。そんな姿を見ても、私の心には、同情の一片さえわき上がってきませんでした。
ただ、ベビーベッドですやすやと寝息を立てている娘の未来だけが、私の頭を占めていたのです。
この男の涙は、私の苦しみを思ってのものではなく、自分の築き上げた生活が崩れることへの恐怖に過ぎないのだと、冷酷に理解していました。
祐介の土下座謝罪は、深夜から明け方まで、数時間にも及びました。
「なんでもするから!君と子どもがいない人生なんて考えられない」
「ATM」として再構築を選んだ
そんな空虚な言葉を何百回聞かされたでしょうか。
彼は、アリバイ工作に協力していた同僚と縁を切ること、給料の管理はすべて私が行い、今後、彼のおこづかいは"実質ゼロ"にすること、そして、再び不貞が発覚した際は、一切の権利を放棄して家を去ることを提案してきました。
私は、泣き叫ぶ夫と、それとは対照的に、静かに眠る娘を交互に見つめました。
(本当によく眠る子で助かった)
と、私は夫の謝罪など脇に置いて思っていました。
今すぐ彼を追い出し、一人で娘を育てることは不可能ではありません。
しかし、現実問題として、現在の私の蓄えとキャリアでは、娘に不自由ない環境を与え続けるには、不安が残ります。一方で、この男には、まだ「稼ぎ手」としての利用価値がある…。
私は、自分の中に潜む冷徹な計算を認めざるを得ませんでした。愛は死んでも、生活は続くのです。
私は、探偵に教わった、法的に有効な形式で、一通の「誓約書」を作成しました。そこには、今回、認められた不貞の事実、過去の経緯、今後の厳格な禁止事項、そして、約束がやぶられた際の即時離婚と、その際の高額な違約金、養育費の支払い義務を克明に記しました。
「これにサインしなさい。離婚は保留にしてあげる。でも、かんちがいしないで。あなたをゆるしたわけじゃない。娘のために、あなたが"父親という役割を演じるATM"として機能を続けることを、執行猶予付きで認めただけよ。次に何かあれば、この書類があなたの社会的な息の根を止めるわ」

