単語と口調以外にも大切なコミュニケーション要素

これまで見てきた研究結果から、犬はかなりの単語を理解する能力を持っていること、そして言葉の意味を正しく伝えて犬にポジティブな感情を呼び覚ますためには、単語だけではなく、賛同するような口調を伴うことが必要だということがわかりました。
それ以外にも、犬には社会性や協調性があること、ポジティブやネガティブな経験を重ねることで「良いこと」や「悪いこと」を学習する能力があること、人と視線を合わせることで意思疎通が図れること、人が指先を指し示すことで視線を誘導できることなども知られています。
これらの知見を総合的に活用することで、愛犬との意思疎通をよりスムーズに行うことができるようになるでしょう。
例えば愛犬に対して赤ちゃん言葉を使う飼い主さんは、一般の方には、溺愛ぶりに呆れる行為に映るかもしれません。しかし、赤ちゃん言葉で話すときには、どんな人でも高い声のトーンを使い、優しい表情で楽しげに話しかけます。
この口調や表情は、犬にとってポジティブな感情を引き起こさせる効果があると考えられ、意思疎通をスムーズに行うためには効果的な話しかけ方だと言えそうです。
まとめ

「わざわざ研究論文などを読まなくても、犬と一緒に暮らしていれば、言葉を理解できることなど自然に理解できる」と思われる飼い主さんが多いかもしれません。しかし、感覚的・経験的にわかっていることでも、科学的な根拠やエビデンスが揃うことで、動物福祉を守りながら効果的にトレーニングを行う方法を確立するなど、実用面に応用できるようになります。
そういった観点で、私たち一般の飼い主も、積極的に動物行動学などの学術研究に興味を持ち、可能な範囲で協力することで、人と動物が共存できる社会に貢献していけるのではないでしょうか。
とは言え、研究への協力だと壁が高すぎるかもしれません。まずは、普段愛犬に話しかける時の口調や表情を、優しく楽しげにすることから意識してみると良いのではないでしょうか。

