ここ数年でよく耳にするようになった「ブライダルチェック」は、結婚を控えた人のための体のチェックです。今回は、ブライダルチェックの検査で疑わしい所見が見つかった場合の対応について「メディカルパークダイレクトタワー横浜」の沼崎令子先生に解説してもらいました。

監修医師:
沼崎 令子(メディカルパークダイレクトタワー横浜)
弘前大学医学部医学科卒業後、横浜市立大学産婦人科に入局し、横浜市立大学附属病院横浜南共済病院、神奈川県立がんセンターなどで、婦人科悪性腫瘍治療を主たる専門分野として研鑽を積みながら、地域の中核病院として婦人科良性疾患手術や、女性ヘルスケア、分娩などの周産期医療にも積極的に関わる。2024年、メディカルパークダイレクトタワー横浜院長に就任。医学博士、日本産科婦人科学会専門医/指導医/機構専門医、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医・指導医、日本臨床細胞学会細胞診専門医・教育研修指導医、日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、母体保護法指定医、難病指定医。
編集部
ブライダルチェックで疑わしい初見がみつかった時はどうすれば良いのですか?
沼崎先生
内容や程度などにもよります。たとえば貧血であれば、栄養指導や飲み薬などで改善を図る場合も多いですし、超音波検査で子宮筋腫や卵巣嚢腫が見つかったり、子宮頸がんなどが疑われたりした場合には、それぞれ必要な治療や処置、追加検査などを行います。風疹抗体がない場合は、ご結婚前に事前に風疹ワクチンを打ってもいいと思います。なお、風疹抗体がない方は風疹ワクチンの接種が勧められますが、接種後2か月の避妊期間が必要です。
編集部
「必要な治療」とは、例えばどんなことをするのですか?
沼崎先生
子宮筋腫であれば、生活に支障がなければ経過観察となりますが、貧血や周りの臓器が圧迫されるなどの症状が出てきたり、短期間で急に大きくなったりといった異常がみられた場合には、薬物療法や手術療法が検討されます。卵巣嚢腫も、小さければ経過観察ですが、大きかったり、増大傾向にあったりする場合は手術が検討されます。
編集部
子宮頸がんが疑われる場合はどんな検査をして、どのように治療するのですか?
沼崎先生
子宮頸がんの前がん病変として、子宮頸部異形成という病気があります。子宮頸部異形成が疑われた場合は、子宮頸部組織検査が必要になります。その結果で軽度異形成、中等度異形成、高度異形成と分けられます。中等度異形成までは治る可能性もありますのですぐ手術をするわけではなく、HPV(ヒトパピローマウイルス)の検査を行い経過観察する場合が多いのですが、高度異形成以上の場合は手術が必要です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
沼崎先生
ブライダルチェックにより、婦人科疾患や性病の有無を知ることができます。これから結婚して、妊娠を希望されている方にはあらかじめ自分の体の状態を知ることで、疾患の治療やワクチン接種など、将来の妊娠に備えた準備をすることができます。また、ブライダルチェックの検査項目以外でも、ご心配なこと(月経不順など)がありましたら相談してもらえればと思います。若い方には産婦人科の受診はハードルが高いかもしれませんが、ブライダルチェックで実際に病気や感染症が見つかった方もいらっしゃいます。ご自身の体を知るためにも、一度受診していただければと思います。
※この記事はMedical DOCにて<「性病」などの所見がブライダルチェックで見つかった… その後どうなるの?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

