成人女性に多く見られる子宮筋腫は、女性ホルモンの作用によって成長するといわれている良性の腫瘍です。
30歳以上の女性の20~30%に発生し、45歳までに少なくとも1つの子宮筋腫が発生する女性の割合は約70%とされており、女性にとっては身近な病気の一つといえるでしょう。
ここでは子宮筋腫の予防や注意点、妊娠・出産への影響についても解説しています。
※この記事はメディカルドックにて『「子宮筋腫」の自覚症状・原因・発症しやすい年齢はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
子宮筋腫の予防法や注意点

子宮筋腫を予防する方法はありますか?
子宮筋腫の発生原因はまだ解明されていないため、予防方法も確立されていません。ただし女性ホルモンが筋腫の成長に何らかの影響を与えているということはわかっていますので、対策としてホルモンバランスを整えることは重要といえるでしょう。ホルモンバランスの乱れは月経周期の乱れや生理不順にもつながっています。食事や生活習慣を整え、ストレスをため過ぎず身体的にも精神的にも安定した状態を維持することで、女性ホルモンと上手に付き合っていきましょう。
日常生活で気を付けることはありますか?
普段の生活で特に気を付けることはないですが、生活習慣を整えることを心掛け、気になる場合は子宮がん検診を定期的に受診するとよいでしょう。子宮がん検診では筋腫の有無も確認することができます。また、筋腫の発生や成長にエストロゲンが関係していることから、ホルモン補充療法や女性ホルモン作用のあるサプリメントを摂取している場合は、症状の悪化に注意が必要です。
子宮筋腫があっても妊娠は可能ですか?
子宮筋腫が小さく無症状であれば妊娠・出産は可能で、近年では初産の年齢が上がっており、子宮筋腫のある妊婦さんも実際にいます。また、妊娠してからの検査で初めて子宮筋腫が見つかるケースもあるでしょう。子宮筋腫があっても妊娠中に何も起こらず経過することもありますが、流産や早産を引き起こす場合や、筋腫の大きさや位置によっては分娩障害の原因になることもあります。
妊娠中に見つかった子宮筋腫に対しては、多くの場合で保存療法か経過観察を行いますが、手術をする場合は、必要性とリスクについて担当医と十分に話し合う必要があるでしょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
子宮筋腫は良性の腫瘍で、命に関わるような重い病気ではありませんが、ときには痛みを伴う不快な症状が現れたり、場合によっては妊娠・出産に悪影響を及ぼすこともあります。他の病気と同様早期発見が望ましいですが、最初のうちは自覚症状がなく気が付きにくいので、定期検診を受診することをおすすめします。
編集部まとめ

女性にとって身近な病気である子宮筋腫は、多くの場合重篤な症状に進展しない良性の腫瘍です。
しかし筋腫が大きくなると、月経の変化や臓器の圧迫などの不快な症状を伴うことがあり、場合によっては不妊や分娩障害につながることもあるので注意しておきましょう。
普段の生活では特別気を付けることはありませんが、不摂生を避けて生活習慣を整えるとともに、早期発見のために定期的に検診を受けることをおすすめします。
参考文献
子宮筋腫(日本産科婦人科学会)

