
大統領を殺害したのは誰か――。ポリティカル・サスペンスの様相で始まりつつ、驚きの仕掛けが潜んでいたことでドラマファンを夢中にさせた「パラダイス」のシーズン2が、2月23日に配信開始。全8話のうち3話一挙配信となった初週を、第1話を中心にレビューする。(以下、ネタバレを含みます)
■シーズン2はパラダイスの“外”も舞台となる壮大な展開
2025年の「第77回エミー賞」にノミネートされたシーズン1に続き主演を務めるのは、大ヒットドラマシリーズ「THIS IS US/ディス・イズ・アス」や映画「ブラックパンサー」などのスターリング・K・ブラウン。
国家最高機密情報担当の捜査官として大統領を警護する職務に就いていた主人公・ザビエル(ブラウン)が、殺害された大統領の第一発見者となったのがシーズン1の始まり。そこに隠されていたのは、ザビエルたちが暮らす街がコロラド州の山の下に作られた地下都市「パラダイス」であったこと。殺人犯を探すとともに、そのパラダイスの秘密や陰謀も明らかになっていくというスリルに満ちた展開で、最終話まで引き付けられた。
そのシーズン1後半でパラダイスの“外”、いわゆる元いた地上の世界でザビエルの妻が生きているということが描かれた。シーズン2への期待感が高まったのはそこで、その通りにザビエルがパラダイスの外へと妻を探しに出掛けることになる。
■1人の女性が迎えた“あの日”のリアル
ただ、第1話は少し思いがけない始まりだった。主人公のザビエルがラストまで登場しないのだ。そこで描かれたのは、地球が“あの日”を迎えてからのこと。そのストーリーをけん引するのは、ある理由から医学生を辞め、テネシー州にあるエルビス・プレスリーが亡くなるまで暮らした邸宅グレースランドでツアーガイドをしていた女性・アニー(シャイリーン・ウッドリー)だ。
アニーがガイドとして観光客を迎えていたとき、南極の地下で大噴火が起きた。アニーは警備員の女性と共に、ロウソクや食料品などを持ち込んでグレースランドの地下室にこもり、生き延びた。
だが、警備員の女性はけがが原因でこの世を去り、災害だけでなく、この機会に乗じた核戦争まで起きたことによる異常気象によって太陽の光が届かない中、たった1人で過ごすことに。そんな日々が始まってから689日目、アニーはふと日が差していることに気付く。風がそよぎ、鳥の声が聞こえ、アニーは自然と笑い声を上げた。そんなとき、同じように生き残った男たちの集団がグレースランドへとやって来た。
警戒するアニーだったが、男たちは世界を立て直す目的を持っていて、しばらく居候という形に。やがてリーダー格の男と恋に落ちるアニー。しかし、グレースランドを離れる彼らに付いていかない決意をし、また1人になる。
おなかに宿った新しい命を慈しみながら過ごすアニーは、飛行機が飛ぶ音を聞いて外へと出る。そして、森の中で妻を探すためにパラダイスから出てきたザビエルが倒れているのを発見するのだった。

■パラダイス最大の秘密とは何か…
アニーの日々を通して、地球がどうなっていったのかが描かれた第1話。異常気象による暗闇の中で、ひそかに細々と生きるアニー。人間の生命力が感じられると同時に、アニーの元にやって来た男たちの1人が口にした「地下壕でアレックスを倒す」という言葉で、サスペンス要素に引き戻される。
それにしてもプレスリーの邸宅が出てくるというのはニクいポイント。実は、シーズン1でザビエルは、妻・テリ(エヌーカ・オークマ)が、故郷のメンフィスにゆかりのあるプレスリーの名を娘につけたいと押し切られたと明かしていたのだ。パラダイスを作った富豪のサマンサ(ジュリアンヌ・ニコルソン)のあだ名はシナトラであり、アメリカを代表するエンターテイナー2人がひそかに物語を彩っているというわけだ。ちなみに、80年代などの曲をアレンジした音楽も使われている。
第2話では、地上でテリ捜索のために飛行機を操縦するも墜落してしまったザビエルが子どもたちと知り合い、さらにアニーと出会うまでと、テリとの出会いの回想シーンが交錯しながら進む。過去の描写により、ザビエルが必死でテリを探す愛の深さが分かる。そして第3話は、シナトラが登場し、パラダイス最大の秘密のために動き始める。
パラダイスの内と外。2つの世界ともいえる物語で進み、シーズン1以上の見応えがある。さらなるパラダイスの秘密とは何なのか…気になる仕上がりだ。
「パラダイス」のシーズン1はディズニープラスのスターで独占配信中、シーズン2は毎週月曜に新エピソードを配信。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

