●再登録が認められた事例
一方で、弁護士の職務に関連する犯罪で有罪となった後でも、再登録が認められた事例はあります。
たとえば、業務上横領・詐欺で懲役刑(拘禁刑)2年10カ月・執行猶予3年の判決を受けた弁護士が、自ら弁護士登録を取り消して身辺整理をしたうえ、自己の家屋を売却して被害弁償を行って示談をし、事件後転居して一社員として真面目に勤務し、9年間謹慎したことなどが考慮され、再登録が認められました(日弁連議決例、昭和55年(1980年)7月23日議決)。
証拠偽造・偽証・犯人隠避を行った弁護士が、2年間の謹慎したうえで再登録を求めた事案では、指導監督体制の確保などの事情も考慮して、再登録が認められた事例もあります(日弁連議決例、平成3年(1991年)9月24日議決)。
●再登録は「不可能ではないが容易でもない」
以上を踏まえると、今回起訴された弁護士が仮に拘禁刑以上の有罪となった場合、再登録は「不可能ではないが容易でもない」といえそうです。
再登録を難しくする事情としては、以下のようなものが挙げられます。
まず、弁護士としての職務に関係する刑事罰の場合、再登録が認められない可能性が上がると思われます。特に非弁提携は弁護士の独立性と制度の根幹に関わるため、再登録にあたってマイナスになりそうです。
次に、今回の事件では、「賛助金」名目で紹介料をやり取りする仕組みがあったという報道があります。このような事情が裁判で認定され、さらに弁護士側で意図的に非弁提携の脱法行為を行っていたと評価されてしまうと、再登録にあたってマイナスになりそうです。
さらに、モームリ事件は社会的注目度が高い事件であることも、再登録を認めるにあたってマイナスになりそうです。
逆に再登録を認めるにあたってプラスになる事情として、今回の事件が初回で、1度きりであれば、過去の拒否事例ほど厳しい評価にはならない可能性もあります。執行猶予満了後に相当期間が経過し、真摯な反省を示せば、再登録の道が完全に閉ざされているわけではありません。
いずれにせよ、拘禁刑以上の有罪判決を受けてしまうと、弁護士としてのキャリアに数年以上の空白が生じることは避けられず、影響は甚大です。今後の裁判の行方が注目されます。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)
※なお、わかりやすさを重視して記事上は「拘禁刑」で統一しましたが、禁固刑と懲役刑を拘禁刑とする改正刑法施行(2025年6月)より前の行為については、言い渡される判決は懲役刑、実際の処遇は拘禁刑となります。

