●弁護士「立場の弱い飲食店に気遣いを」「迷惑行為はめぐりめぐって客側に反映される」
飲食店の問題にくわしい石崎冬貴弁護士は、このように語る。
──飲食店では、迷惑行為をする客に注意することで、トラブルや悪質な口コミ投稿などの“報復”を受けるリスクを懸念する声もあります。
日本ではサービスに対する期待水準が非常に高いですから、「お客様は神様です」の時代ではないにせよ、依然として客側が優位であることには変わりません。
口コミをはじめ、客は店に対して一方的に意見や論評を発信できますが、店側の反論手段は限られます。個人情報保護の壁もあり、投稿者を特定したり、その口コミに対して媒体上で反論したりすることは容易ではありません。
その意味では、店側は立場が弱く、このような迷惑行為に対しても、「報復」されるリスクを考慮せざるを得ず、厳しい対応を取りにくい状況が生じています。
──注意された腹いせに、Googleマップなどで「星1」評価をつける報復的な行為への対策はありますか。
Googleなどの口コミは、客の「意見」なので、まったくの虚偽であったり、店の商品・サービスと無関係といった場合でなければ、原則として自由に投稿・評価することができます。
客観的に見れば明らかに非常識、あるいは的外れな内容であっても、個人の意見・感想・評価として尊重されます。
特に、GoogleやSNSなど、海外資本のプラットフォームでは、その傾向が顕著です。もちろん投稿内容次第ではありますが、「意見」にあたる口コミについて、法的に削除や修正、損害賠償を求めることは、一般に容易ではないと言わざるを得ません。
口コミはいろいろな方が書きますし、「報復」のように、何かしらの意図があって書かれる場合もあります。
読む方も、口コミはあくまで特定個人の意見であることを意識し、冷静に、あくまで一つの参考として読むようにすべきです。
──子連れ客のマナーをめぐっては、店側との摩擦も起きがちです。客として意識すべき点を教えてください。
本来、客が店側に迷惑をかければ、その対応に時間や費用がかかります。その結果、提供時間の遅延や商品価格の上昇、食事に伴うルールの設定など、めぐりめぐって、ほかの客や自分自身にも影響が及びます。
迷惑行為は周りの客が見ても気持ちいいものではありません。子連れで外出が大変なことはもちろんですし、ある程度、社会全体で許容する必要もありますが、それを理由に配慮を欠くのではなく、店やほかの客に対する気遣いは忘れないようにすべきでしょう。
【取材協力弁護士】
石崎 冬貴(いしざき・ふゆき)弁護士
東京弁護士会所属。一般社団法人フードビジネスロイヤーズ協会代表理事。自身でも飲食店を経営しながら、飲食業界の法律問題を専門的に取り扱い、食品業界や飲食店を中心に顧問業務を行っている。著書に「なぜ、一年で飲食店はつぶれるのか」「飲食店の危機管理【対策マニュアル】BOOK」(いずれも旭屋出版)「飲食店経営のトラブル相談Q&A―基礎知識から具体的解決策まで」(民事法研究会)などがある。
事務所名:法律事務所フードロイヤーズ
事務所URL:https://food-lawyer.net/

