【3.11から15年】非常口のマークはなぜ緑?命を救うデザイン #知り続ける

この記事では、身近なのに意外と知らない非常口マークの豆知識を紹介していきます。

非常口の「緑の人」は日本で生まれた!

今では世界中で使われている非常口のマーク(ピクトグラム)ですが、誕生したのは1980年代。それ以前の日本では、「非常口」という漢字3文字の標識が使われていました。約40年前まで「緑の人」はいなかったのです。

日本でかつて一般的だった非常口誘導灯(Rebirth10 • CC BY-SA 4.0)日本でかつて一般的だった非常口誘導灯(Rebirth10 • CC BY-SA 4.0), Public domain, via Wikimedia Commons.

ピクトグラムが生まれたきっかけは、相次いだデパートでの火災でした。1972年には大阪市のデパートで、1973年には熊本市のデパートで火災が発生。いずれも100人以上が亡くなった悲惨な事件です。

多くの犠牲が出た最大の理由は、「非常口がわかりにくかったこと」でした。当時、誘導灯の表示は「非常口」という漢字のみ。しかもサイズが小さく、見にくかったのです。結果として、大勢の方の避難が間に合わず、被害が大きくなりました。

避難口誘導灯(筆者撮影)避難口誘導灯(筆者撮影)

そこで持ち上がったのが、「デザインの伝わりやすさ」という課題。1979年、消防庁は公募でアイデアを募集し、全国から3000以上のデザインが寄せられました。その中から選ばれた1点を、デザイナーの太田幸夫さんが中心となって改良。そうして生まれたのが、私たちがよく知る非常口のピクトグラムです。

1980年代からは各施設にこのピクトグラムが導入され、「非常時はこっちに避難して!」というメッセージが直感的にわかりやすくなりました。

非常口ピクトグラムが緑色の理由は?

非常口のピクトグラム(筆者撮影)非常口のピクトグラム(筆者撮影)

非常口のピクトグラムは、必ず緑色ですよね。例外を見たことはありませんが、他の色ではいけない理由があるのでしょうか?

赤が使われている標識の例(筆者撮影)赤が使われている標識の例(筆者撮影)

たとえば、危険や警告を知らせる標識には赤や黄色が使われます。「警告色」といって人の目につきやすく、感覚的に「危ないぞ!」というメッセージを伝えられる色です。

これを踏まえると、非常口も赤にした方が目立って良いのでは? と思えてきますが、緑でなければならない理由がありました。それは、「火災のときに見やすいこと」。炎に包まれた状態だと、赤色はかえって目立ちにくいのです。

左:非常口のピクトグラム(消防庁告示「誘導灯及び誘導標識の基準」)、右:左の画像を筆者が加工左:非常口のピクトグラム(消防庁告示「誘導灯及び誘導標識の基準」)、右:左の画像を筆者が加工, Public domain, via Wikimedia Commons.

一方、緑は赤の補色(反対色)です。補色とは正反対の色の組み合わせで、お互いに引き立て合う色のことです。つまり、緑は炎の中でもっとも見やすい色。非常時においては、赤よりもハッキリと目立つ色なんです。

また、緑色には気持ちを落ち着ける効果が期待できる、と言われています。効果のほどはわかりませんが、非常時にも冷静な判断ができるように…といった願いも込められているのかもしれません。

配信元: イロハニアート

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