筋ジストロフィーの前兆や初期症状について
筋ジストロフィーの初期症状は、発症するタイプによって異なりますが、一般的には筋力の低下や筋萎縮が生じることで運動機能の障害がみられます。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)とは
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、3歳から5歳の間に症状が現れます。走れない、転倒しやすくなる、階段を上るのが困難になるなどが代表的な症状です。ふくらはぎの筋肉が異常に発達する(仮性肥大)ことや床から立ち上がる際に膝に手をつきながら立ち上がること(ガワーズ徴候)も特徴の一つです。
ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)とは
ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)はDMDに比べて進行度合が遅いです。症状はDMDと比べて発症年齢は遅く、歩行能力は15歳前後まで保たれます。DMDに比べて筋力低下が軽いため心臓に負荷がかかりやすく、心臓の筋肉に障害が起きやすいのが特徴です。顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)は、顔面、肩甲骨、上腕の筋肉に障害が出現します。発症時期はさまざまで、乳幼児期から成人期と幅広いです。腕を上げるのが難しいといった症状がみられます。
肢帯型筋ジストロフィー (Limb-Girdle Muscular Dystrophy, LGMD)
肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)は、肩や骨盤の筋肉に筋力低下を引き起こす遺伝性筋疾患です。特に下肢帯の筋肉が障害されやすく、初期症状として転倒や階段昇降が困難になるなどが見られます。発症年齢は小児期から50歳代以降までと幅広く、デュシェンヌ型と比較すると障害の程度は軽く、進行速度は遅いとされています。例外もあり、デュシェンヌ型と変わらない重症度で経過する方もいるため留意しておきましょう。多くは常染色体劣性遺伝形式(2型)を示しますが、まれに優性遺伝(1型)と分類されます。その他の半数以上は遺伝子解析や筋病理検査である筋生検を行っても原因が特定できません。身体的な特徴としてふくらはぎの膨隆が見られる「仮性肥大」が見られ、診断の際に判断基準となります。に
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー (Facioscapulohumeral Muscular Dystrophy, FSHD)
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)は、顔面、肩甲帯、上腕近位部の筋力低下を特徴とする遺伝性筋疾患です。初期症状として表情筋の機能低下による表情の乏しさや筋力低下による上肢の挙上困難、翼状肩甲などが見られます。発症年齢は幼児期から壮年期と幅広いですが、20歳までに発症するケースが多いです。症状の進行は比較的緩やかですが、進行とともに下肢にも障害が見られるようになり、車椅子生活を余儀なくされます。FSHDは常染色体優性遺伝形式をとり、4番染色体長腕のD4Z4反復配列の減少が関与しています。
先天性筋ジストロフィー (Congenital Muscular Dystrophy, CMD)
先天性筋ジストロフィー(CMD)は、出生時または乳児期早期から筋力低下や筋緊張低下、体重増加不良、発達遅滞を示す遺伝性筋疾患の総称です。CMDには、福山型、Walker-Warburg症候群、Muscle-Eye-Brain病など、さまざまな病型が含まれます。これらの病型は、遺伝子変異により筋細胞の正常な機能が破綻し、筋力低下や運動発達遅滞を引き起こします。CMDの症状には、呼吸不全、心不全、知的発達障害、けいれん発作、眼合併症などの種々の障害が見られる重度の筋ジストロフィーです。
これらの症状がみられた場合、子供は小児科、大人は神経内科などを受診して適切な検査・治療を受けることをおすすめします。
筋ジストロフィーの検査・診断
筋ジストロフィーの診断は、臨床症状の評価、遺伝子検査、筋生検、血液検査などを組み合わせて行われます。
問診・視診
まず、医師は患者さんの運動機能や筋力低下の程度を評価し、家族歴や病歴を確認します。また、筋ジストロフィーに特徴的な症状も重要な診断手掛かりとなり、デュシェンヌ型で見られるガワーズ徴候が有名です。
血液検査・遺伝子検査
血液検査では、クレアチンキナーゼ(CK)という筋肉酵素のレベルが測定され、筋ジストロフィーの患者さんは、筋肉の破壊によりCK値が通常よりも上昇します。
遺伝子検査は、特定の遺伝子変異を検出することが可能です。
デュシェンヌ型やベッカー型の場合、ジストロフィン遺伝子の変異を確認することが診断に繋がります。
筋生検
筋生検では筋組織の一部を採取し行われます。筋ジストロフィー患者さんの筋組織には、特有の病理学的変化がみとめられ、他の筋疾患との鑑別診断に役立ちます。電気生理検査は、筋肉と神経の機能を評価するために行われ、筋肉の電気活動を記録して異常がないかを確認します。

