筋ジストロフィーの治療
筋ジストロフィーではデュシェンヌ型やベッカー型などそれぞれのタイプで合併症が異なるため、各症状に合わせた治療を選択していかなければなりません。具体的な治療法として理学療法や作業療法、呼吸リハビリテーション、非侵襲的換気療法(鼻マスク人工呼吸)が挙げられます。また、デュシェンヌ型などの場合、ステロイド療法も適用となります。
また、関節の変形や脊柱側弯症の治療のために外科手術を行い身体機能の改善と生活の質向上を目指します。
理学療法や作業療法について
理学療法や作業療法では筋力や身体機能の維持や日常生活動作の向上を目指します。
理学療法士や作業療法士は、患者さんに適した運動プログラムを立案し、筋力低下などの進行を遅らせるサポートや日常生活動作を改善するため、補助器具の使用方法の指導も行います。
ステロイド療法について
デュシェンヌ型筋ジストロフィー症などで用いられるステロイド療法では、コルチコステロイドなどが使用されます。ステロイド療法は歩行可能期間の延長や側弯、呼吸機能、心機能への有効性が報告されています。、しかし、ステロイド薬の長期間の使用には副反応が伴うため医師の指導のもと、それぞれの患者に合わせた治療が選択されるべきです。
非侵襲的陽圧換気療法(NPPVなど)や呼吸リハビリテーションについて
筋ジストロフィーが進行していくと呼吸筋の弱化により呼吸困難が生じることがあります。そのため、肺炎などの呼吸器合併症を予防するために非侵襲的陽圧換気療法(NPPVなど)の使用や、徒手で呼吸機能を補助する手技が有効です。また、呼吸リハビリテーションを行うことで肺や胸郭の可動性を維持・向上することが期待できます。
体重管理について
筋ジストロフィーでは、体重増加は筋肉への負担が増加するため、適切な体重管理も必要とされます。栄養士から食事指導を受け、適切な体重を維持するよう心がけましょう。
筋ジストロフィーになりやすい人・予防の方法
筋ジストロフィーは遺伝性疾患であり、予防する方法は現在のところありません。しかし、家族歴がある場合は、遺伝カウンセリングを受けることが推奨されています。また、妊娠中に受ける出生前検診では、染色体や遺伝子の異常を知ることができます。
遺伝カウンセリングとは
遺伝カウンセリングとは、染色体や遺伝子の異常など、さまざまな問題を相談し、支援していく場です。既往歴や家族歴、診断や過去の検査結果、治療について詳しく聴取し、情報をもとに病気や遺伝の可能性を評価します。
患者さんやご家族に対して、病気のことや社会資源についての適切な情報提供が行われます。遺伝カウンセリングを受けることで、家族は筋ジストロフィーのリスクを理解し、前向きに問題を解決していけるようになるはずです。
出生前検診とは
出生前検査は、妊娠中に遺伝子に異常がないか調べる検査です。出生前検査は特定の遺伝子変異の評価や妊娠中の胎児の健康状態を評価するためにも使用されます。
検査で事前に異常がわかることで、治療やサポートについて準備ができます。しかし、人によっては将来の不安や悩みが増えることがあるため注意が必要です。事前に病気がわかることの影響を考慮し、検査を受けるかについてはご家庭でよく話し合うことをおすすめします。
筋ジストロフィーの早期診断と治療は、症状の進行を遅らせることや患者さんやご家族の今後の生活の質向上を考えるうえで重要になってきます。
また、定期的な診察と適切な治療を行うことは、患者さんの健康管理において重要です。家族と医療従事者が協力して、患者さんをサポートする体制を万全にすることが望まれます。
参考文献
筋ジストロフィー|厚生労働省
筋ジストロフィーのしくみ|独立行政法人 国立病院機構 宇多野病院
筋疾患の診断と治療|久留 聡 J-Stage
Duchenne型筋ジストロフィーのステロイド治療 update|竹内 芙美、小牧 宏文
Duchenne型筋ジストロフィーにおける非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)使用状況と呼吸機能|本間 優希、三浦 利彦、石川 悠加
筋ジストロフィー症における栄養・代謝障害とその対策|高田 博仁
遺伝カウンセリングとは|日本認定遺伝カウンセラー協会
出生前検査でわかること|こども家庭庁
神経筋疾患における出生前診断の実際|竹下 絵里、小牧 宏文、杉本 立夏、後藤 雄一
筋ジストロフィー|国立精神・神経医療研究センター NCNP病院

