新たな100年を歩み始めた
「文化を沸かす」次世代の銭湯

日本文化が色濃く残る台東区・浅草。この土地で77年続く老舗銭湯「曙湯」に、クラシカルでありつつも、新しさを感じさせる暖簾が掲げられました。
長きにわたり曙湯を支えてきた前店主が引退し、温浴施設のリノベーションや運営を手がける株式会社yueへ、昭湯の未来が託されたのは、昨年6月末のこと。
「こんなに素晴らしい銭湯を任せてもらえて素直に嬉しかったです。自分の中で曙湯の未来に関するイメージが明確だったこともあり、不安よりもワクワク感の方が大きかったですね」と、笑顔で語ってくれたのは代表の大澤務征さん。

25年8月23日、約1カ月の工事とプレオープンを経て曙湯の新たな歴史がスタートしました。この先100年続く銭湯にするため「文化を沸かす銭湯」というコンセプトを掲げ、今まで通り地域に根ざしつつも、伝統的な文化の価値を再発見できる場をめざしたと言います。
「『文化を沸かす』という言葉には、銭湯文化・日本文化・地域文化を盛り上げることで、“文化の温度を上げる場所”にしたいという想いを込めました。1949年に創業した曙湯は、文化の発地として栄えた浅草の街に根ざした銭湯です。そんな曙湯だからこそ、下町のあたたかな地域文化や、芸術や演芸などの日本文化に触れられる場にできればと。また、豪華な宮造りや内装が美しく残された曙湯は、これまで銭湯に触れてこなかった若い世代へ銭湯文化を伝える場としてもぴったりだと感じました。伝えるべき歴史が詰まっている曙湯だからこそ、伝統的な文化を再び沸かす場所という役割がしっくりきました」
心地いい「気」が流れる
伝統と革新が調和する銭湯風情

曙湯を語るうえでかせないのが、古きよき銭湯の魅力を語る、伝統的な建築様式。昨年11月には「東京都選定歴史的建造物」に認定されています。見事な宮造りの外観は、ゆるやかな山型の唐破風屋根と、4月下旬から5月上旬に見頃を迎える藤棚が印象的。
暖簾をくぐり中に入ると、上を見上げずにはいられない豪華な折上げ格天井が迎えてくれます。格子の間に描かれた花の文様も美しく、開放的なロビーには、若手アーティストによる書道作品が飾られており、まさしく日本文化を沸かすスポットとして活用中。

清掃が行き届いた浴室のカランには、地域のお店の名前が入った鏡広告を導入し、地域文化を沸かすという役割も忘れません。
主役となるお風呂は、湯船ごとに温度差をつけることで、どんな世代でも満足できるよう意識。細かい気泡が心地いい「絹の湯」は40度前後と少しぬるめに、日頃の疲れを吹き飛ばしてくれる「ジェット」や「バイブラ」は42度前後とやや熱めの設定です。

湯上がりは、リニューアルを遂げた小上がりの畳スペースで漫画を読んだり、テラスに出てドリンクを飲んだりと、余韻を楽しむのがおすすめです。
「初めて曙湯に足を踏み入れたとき、”ここは気がいいな”と感じました。天井が高くて明るく空気が澄んでいて。そういった銭湯ならではの空気感を感じつつ、ゆったり過ごしてもらえたら嬉しいです」

