契約書がないのにコンサルから「相談料」を請求された…支払う必要はある?弁護士が解説

契約書がないのにコンサルから「相談料」を請求された…支払う必要はある?弁護士が解説

●相談をやめたことで「契約締結上の過失」は問われる?

「契約が成立すると思わせておいて、正当な理由なくやめる」ような場合には、契約が成立しなかったことについて、相手に損害を賠償しなければならないことがあります。これを「契約締結上の過失」といいます。

たとえば、両者にとって、今後確実に月額契約を締結することが前提となっていたのにもかかわらず、後になってから「経営が難しい」などと言い訳をして、契約を一方的にやめるようなケースでは、そうした責任が問われることもあり得ます。

しかし、本件では、そもそも相談の段階で「後で月額契約に移行したときにお金が発生する」「移行しなかったときはさかのぼって請求する」といった話は、依頼者に全く伝わっていません。逆に、「相談料は後から請求しません」という言葉だけが残っています。

つまり、本件は「支払いの義務を免れるために、言い訳をして契約を一方的に打ち切った」というわけでもないようです。

もちろん他の細かい事情が分かれば結論が変わる可能性はありますが、少なくとも相談内容からだけでは、経営状況やリソースを踏まえて「相談を終了したい」と判断したことは、正当な理由に基づく選択であり、契約締結上の過失は認められないと考えられます。

●コンサルタントである以上、リスクはしっかりと見積もるべき

依頼する側としては、コンサルやアドバイザーに相談するとき、報酬の有無・金額・いつ請求されるかを、可能であればメールやLINEのやりとりでもよいので残しておくと安心です。

コンサルタント側にとっては、今回のような結論は酷に感じるかもしれません。 しかし、自らのコンサル料の回収について、どのような条件なら請求できるか・できないかを事前に十分検討し、取り決めておくことは、リスク管理の上で非常に基本的かつ重要なことです。

厳しい言い方にはなりますが、コンサルタントは会社の経営に関するプロです。自分自身の報酬の回収について、リスクを正しく見積もり、回避策を講じることができないようでは、その資質を問われかねません。

本件は、コンサルタント自身の経営や実務の反省材料として活かしていくべきケースではないでしょうか。

監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

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