
■1階がビール醸造所、2、3階がサウナという駅前の施設


京王線「高尾山口駅」の改札を出て、甲州街道沿いに少し歩いて行くと、壁面に「36 SAUNA」と描かれた建物が見えてくる。よく見ると、ガラス張りの1階部分にはビールのタンクが並んでいる。今回目指すはここ「TAKAO 36 SAUNA」。駅からのアクセスもよく、登山口もすぐ近くという立地。




お目当てのサウナは2階が入口。ドアを開けるとフロントと飲食スペースが広がる。サウナ施設内にある「36 KITCHEN(サンロク キッチン)」というカフェレストランだ。気になりつつ、まずは目的のサウナを体験。受付でサウナの説明を受ける。「山麓」を意味する店名の「36」にかけて、サウナフロアは2階の「麓 fumoto」と3階の「山 yama」に分かれている。週替わりで男女入れ替え制になっていて、この日は3階の「山 yama」が女性。ということで、さっそく3階へ。

3階に上がるには2階から一旦建物の外に出て外階段を上って行く、珍しいスタイル。3階のドアを開けると更衣室がある。受付で受け取った鍵の番号の下駄箱に靴を入れ、同じ番号のロッカーを使う。更衣室内にタオルが置かれていて、バスタオルとフェイスタオル1人各1枚がサウナ料金に含まれている。
■浴室内のサウナ室は10分おきにオートロウリュがある

浴室に入ったら、まずはシャワーブースで髪と体を洗う。シャンプーやボディソープは備え付けがあるので持参する必要なし。自分のお気に入りがあるなら、もちろん持ち込みもOK。「山 yama」の浴室内には「fukurou(ふくろう)」と名付けられたサウナ室がある。7~8人の定員で温度は約90度。10分おきにオートロウリュが行われ、程よい湿度を保つ。

最初は様子見で下段に座ってみる。暑すぎず心地よくいられるので、まずはここでじっくり体を温めてみる。ちょうどオートロウリュのタイミングにあたり、あのジュワ~という音を聞きながら汗をかく。朝一番での訪問だったこともありサウナ室は貸し切り状態で、開放感もプラスされ、なんとも贅沢な気分。


しっかり汗をかいたので、汗を流してから屋外「空のテラス」の水風呂へ。青空の下、アウトドアのような雰囲気で水風呂に入れる。この開放感のある水風呂に裸で入れることはなかなかない。日差しを感じながら、水風呂でクールダウン。この日の水温は15度ほどで、屋外の気温が高いのでかなり気持ちがいい。


水風呂から上がったら、屋外にある椅子、アディロンダックチェアかベッドで外気浴。日差しが気になったので屋根のある椅子のスペースでダラダラ。郊外ということもあって空気も清々しい。ボーッと空や緑を眺めながら、無の境地。屋外の水風呂は、冬場は温かい露天風呂になるそう。露天水風呂が楽しめる期間は事前に確認しよう。

ちなみに、浴室内にはウォーターサーバーがあるので、サウナの前後などこまめに水分補給を忘れずに。2階のフロント前の自販機で水を購入することもできるが、外部からの持ち込みはNGなので要注意。
■程よい温度が快適なバレルサウナでセルフロウリュ

2セット目は屋外にあるバレルサウナへ。バレルサウナは「バレル(=樽)」のような形の木製サウナで、天井が丸くなっていることで熱や蒸気がサウナ室全体に循環しやすくなっているのが特徴。こちらのサウナは「kawasemi(カワセミ)」。コンパクトなサイズ感で、両サイドに2人ずつ4人がマックスといったところ。奥には窓があり自然を眺めながらサウナを楽しめる。


温度は85度設定で、ロウリュをすることで体感温度が上がる。熱いのが苦手な人はロウリュをせず、そのままじっくり温まるのがおすすめ。小さいサウナなので、ほかに人がいると座る位置を移動するのは難しい。ロウリュが苦手なら、「途中で出るかもしれないので出口側に座ってもいいですか」など声をかけておくと安心。また、自分がロウリュをするときは「ロウリュ、いいですか」の一声を忘れずに。

「fukurou」に比べると、ロウリュをしても体感はマイルド。景色のよさもあって、心地よく過ごせる。景色を見ながらボーッとして、熱くなってきたら自分のタイミングでサウナ室を出る。当たり前のことのようで、何だか自然のサイクルの中に自分が溶け込むような感覚になる。サウナ室を出た瞬間、外気を感じるのもちょっぴり贅沢な気持ちになる。

汗を流したら水風呂へ。夏だとちょっと日差しが気になるところだが、秋晴れの「空のテラス」は風も気持ちいい。水風呂が苦手な人は、外気浴でクールダウンもアリ。

「fukurou」と「kawasemi」をそれぞれ2回ずつ体験し、浴室内のお風呂で体を温める。ぬるめの設定なので、手足を伸ばして体を緩める。アヒルちゃんと一緒に入浴してほっこり。あくまで個人的な感想だが、サウナのあとはお湯に浸かりたいタイプなので、この瞬間が気持ちいい。
■気になる2階の「麓 fumoto」もチェック





週替わりの入れ替え制なので、別の週にくれば「麓 fumoto」を体験することもできる。ということで、こちらも紹介したい。「麓 fumoto」の浴室にあるのはコンセプトが異なる2つのサウナ室。まずは「musasabi(ムササビ)」。定員12~15人という大きなサウナ室で、設定温度は90度。大きなサウナストーブが2台並び、オートロウリュが行われる。


入った瞬間にしっかり熱いと感じられる室温だが、適度な湿度もあり、苦しさはない。座面は2段あるが奥に広くなっているので、高さだけでなく座る位置によっても感じる温度が異なる。まず最初は、自分にちょうどいい温度を探してみたい。



もう1つのサウナは「anaguma(アナグマ)」。やや薄暗い室内は森の静かな闇をイメージしているそう。多摩産ヒノキの蒸留水でロウリュすることで、夜の森林浴を楽しんでいる気分になれるそう。この暗さが意外と落ち着くので、何も考えずにボーッとできる。

こちらのフロアは水風呂も2つ。1つ目の「涼」は15度に設定していて比較的入りやすい。サウナでしっかり温まった体を冷やしてくれる。


もう1つは「冷」。名前の通り冷たい水風呂で9度の設定。そう、“シングル”と呼ばれる水風呂だ。水深も90センチ以上とガチ勢向けの水風呂だが、可能ならサッと一瞬でもいいので入ってほしい。この「冷」と「涼」を交代で入る“冷冷交代浴”もおすすめだ。ただし、本当に、本気で冷たいので、絶対に無理は禁物。入れないけど気になるという人は洗面器で水をすくって、手足にかけてこの冷たさを感じてみよう。

温かいお風呂は「涼」の隣に。サウナ前に入る“下ゆで(湯通し)”はもちろん、サウナのシメとしてもいい。「山 yama」にも「麓 fumoto」にも温かいお風呂がある理由は、ここの立地。サウナ施設でありながら、温浴利用者も多いからだ。場所柄、高尾山登山やハイキングのあとに立ち寄る人が多く、電車に乗る前に汗を流したいというニーズに応えている。サウナには入らず、シャワーで汗を流し、お風呂で温まるというライトな使い方の人たちのために、25分コース(1000円)がある。登山後さっぱりして帰れるのはうれしい。



エリアの半分が屋上露天で外の空気や景色が楽しめ、バレルサウナにも入れる「山 yama」も十分楽しかったが、「麓 fumoto」にもぜひ入ってみたくなった。週で男女入れ替え制というのも、どちらのサウナも入れるので、楽しみが倍になっていい。
■サ飯には注文を受けてから炊き上げる「36釜飯」

さて、サウナを楽しんだあとは、お楽しみのサ飯。本当にサウナのあとっておなかが空く。身支度を整えたら2階の「36 KITCHEN」へ。ここではオーダーしてから炊く釜めしや、自家製クラフトビールに合うおつまみ、カレーなどが味わえる。アルコール派の人は「36ビール」のオーダーも忘れずに。

今回は一番人気という「鮭いくらの山麓釜飯」(2420円)と、釜飯ができるのを待つ間に「フィッシュ&チップス ディルマヨネーズ添え ハーフ」(880円)とサウナドリンクの「デカラ」(528円)をオーダー。ちなみに「デカラ」は、「デカビタC」と「グリーン ダ・カ・ラ」を合わせたもの。ソフトドリンクの中には「八王子産桑の葉茶」(418円)といった地元感のあるものも。サウナ中も水分補給はしていたが、サウナ後の一杯はちょっと特別。体中に染み渡る。

「フィッシュ&チップス」はボリュームがあり、ハーフでもけっこうな量。ふわっとした白身魚と魚料理によく使われるハーブ・ディルの香りのマヨネーズソースがマッチする。のんびり待っていると釜飯が登場。


鮭の切り身1枚とたっぷりのイクラがのった釜飯は、ビジュアルも最強。小鉢とピクルスもついていてボリュームも十分。ご飯はおこげもできていて、もうおいしいに決まっている。サウナ後の乾いた(?)体には、この程よい塩分もたまらない。お茶碗では2杯強の量だが、食べきれてしまう。ちなみに出汁も一緒に提供されるので、1杯目は普通に食べ、2杯目はお茶漬けのように食べるのがおすすめだ。

もう少しサクッと食べたい人にはカレーがおすすめ。八王子の野菜を使った「八王子旬野菜の山麓カレー」(1320円)と「こだわりの欧風カツカレー」(1760円)はどちらも人気。カツカレーはサクサクの大きなカツがのっていて、ボリューム抜群。サウナ後の揚げ物は、やっぱりおいしい。カレーはスパイシーで辛すぎずご飯が進む。
窓の外には高尾の自然が広がる「36 KITCHEN」のサ飯でおなかもいっぱい、まさに満たされた。都心から1時間ほどで行けるこの場所で、アウトドア感も楽しめる「TAKAO 36 SAUNA」。サウナとともに非日常感も楽しもう。
取材・文=岡部礼子
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