「脳腫瘍」を発症するとどんな「後遺症」が残るかご存知ですか?【医師解説】

「脳腫瘍」を発症するとどんな「後遺症」が残るかご存知ですか?【医師解説】

転移性(続発性)脳腫瘍の種類と症状

転移性脳腫瘍とは、脳以外の他の臓器に存在する腫瘍が脳内にやってきて定着し、脳の中で腫瘍となったものです。そして他の臓器からやってくるということは、基本的に他の臓器に癌(悪性腫瘍)が存在している、ということになります。別の言い方をすれば、他の臓器でできた癌(これを原発巣といいます)が、その場所にとどまらず、全身をめぐっているということにもなり、その癌は「遠隔転移をしている。」ということでもあります。そして遠隔転移をしているような癌の進行度は、ステージ4(末期)であるとも表現されます。

転移性脳腫瘍

基本的にどんな癌でも脳に転移する可能性はありますが、特に多いのは肺癌や乳癌とされています。症状は神経膠腫と同様で、脳の中のできた部位によって様々です。頭蓋骨や脳を覆う硬膜と呼ばれる膜に転移する場合もあります。また腫瘍によって脳浮腫(むくみ)を伴っている場合や脳の表面を覆う薄い髄軟膜と呼ばれる場所に薄く広がって転移している場合は、頭痛や痙攣、認知機能低下などの症状を認めます。

脳腫瘍の後遺症とその原因

運動麻痺や呂律困難、感覚障害、視野障害など

特に神経膠腫や転移性脳腫瘍のような脳の細胞の中に直接入り込んで広がっていくような腫瘍では、腫瘍が正常な脳細胞を壊してしまっている可能性があるので、すでに出現している運動麻痺や呂律困難、感覚障害、視野障害といった様々な症状は後遺症となることがあります。また脳浮腫(むくみ)や脳への直接的な圧迫で症状が出ているような場合、特に髄膜腫などの良性腫瘍では、手術による摘出などで圧迫が取れれば症状が改善することもあります。

性格変化、言語障害、高次脳機能障害

脳の中でも特に、性格や言葉の理解に関わる部分や複数の情報を統合・処理する部分が障害されると、性格変化や言語障害、高次脳機能障害という後遺症がでることもあります。例えば空間認識や言語理解ができず、例えば片側の空間のみを無視してしまう、言葉がうまく理解できない・話せない、書字や計算がうまくできない、といった症状があります。また精神症状や認知症につながっていく場合もあります。

痙攣

特に悪性の脳腫瘍の場合、脳の中に入り込んで広がるため、手術などで摘出をしても痙攣発作(症候性てんかんといいます)が残ることが多いです。そもそも頭痛や嘔吐、痙攣といった症状がきっかけとなって脳腫瘍が発覚することも多く、その時点から抗てんかん薬と呼ばれる内服をして、痙攣の発作を抑える必要があります。

顔面麻痺、聴力障害

特に聴神経鞘腫と呼ばれる腫瘍においては、聴力を担う神経が直接腫瘍になっているため、発症して進行してしまうと、聴力低下の後遺症は免れ得ません。また顔面神経の近くにできる腫瘍なので、腫瘍によって顔面神経が圧迫されて顔面の麻痺が出現することがあります。これらの神経は弱いため、顔面神経が長期間圧迫されていた場合は、腫瘍を手術で摘出した後も顔面麻痺が後遺症となる可能性もあります。

配信元: Medical DOC

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