2026年2月26日 サヴォアフェールのオーラ|辛酸なめ子

2026年2月26日 サヴォアフェールのオーラ|辛酸なめ子

先日、友人たちが銀座のカルティエの展示イベントを予約しようとしていて、聞いたら無料だったので便乗して予約しました。「カルティエ 銀座2丁目ブティック」でメゾンの歴史を通じて育まれた「サヴォアフェール」に光を当てたイベント「THE MAGIC OF CARTIER’S ARTISANS ― カルティエのサヴォアフェール」が開催。「サヴォアフェール」って何か不勉強だったのですが、調べたらフランス語で「匠の技」のことでした。最終日に伺いました。

 

1階では写真家、川内倫子氏がバリのカルティエ ハイジュエリーアトリエで撮影した写真作品が展示。パンテール(ヒョウ)モチーフの可愛いジュエリーが職人たちの匠の技で成形されていく写真と動画を拝見。ヒョウが磨かれている姿がかわいいです。実際のジュエリーもガラスケースに展示されていましたが、値札がなく、お値段が想像つきません。

女性の職人たちのポートレイトコーナーも、みなさんオーラがあって素敵でした。ポリッシャー職人、ドリフティーク職人、エナメル職人、石の職人など多岐に渡っていました。フランスの美大とかを出られているのでしょうか。削る道具みたいなのを持っていたりして、ちょっと歯医者を思い出してしまいましたが……。

女性職人のポートレイト。皆さん個性的でかっこいいです。
また弟子入りしたくなってきます。

3階では本イベントのために来日したアルチザンが、 買の技術とクリエイティビティを競演。アルチザンは職人的な芸術家のことだそうです。刺繍や装飾絵画、ラッカーアート、金箔細工、モザイク、宝石細工などの分野で活躍する方々が美しい作品を実演し、展示していました。日本の職人の実演販売とは趣が異なります。それぞれテーブルにインスタのQRコードが置かれていて、運気が上がりそうだったので片っ端からフォローさせていただきました。色彩センスも素晴らしくて、素材も高級感漂っていました。

さらに2階では、時間制でグリブティック (宝石彫刻)職人としてカルティエで作品制作に携わったメートルダール(フランスの人間国宝的な存在)の制作風景とトークを拝見できました。大きな原石がたくさん並んでいて天然石好きとしてはパワーを吸収したくなります。原石から受けるインスピレーションをもとにプランを考えて、社長のOKが出たら実際に作るそうです。例えばジャスパーのパンテールのブレスレット、ラブラドライトの置き時計など。年間10点くらい作っていたそうで、時間的にも余裕があります。友人のお知り合いが、カルティエの職人さんによる石の置き時計を1億円くらいで買ったことがあるそうです。さすが一点ものだけあります。子孫に受け継いだら贈与税がかかってきます。ちなみに私の実家はいっさい相続でも贈与でも税金がかからない範疇で、庶民は気が楽です。

集まっているお客さんのうち、英語ができる意識高そうな女性が、積極的にメートルダールに話しかけていました。わたしは、友人たちとメートルダールと記念写真を撮るため「フォトプリーズ」しか言えなかったです……。毎日英会話アプリで学んでいるのに、実際の人間と会話していないので、生身の人間を前にすると緊張して言葉が出てきません。そろそろAIアプリの限界を感じています。

通訳さんがいらして、メートルダールの格言をその都度訳してくださいました。「あまりたくさんのことに手を出さない方がいい」「テクニックにとらわれすぎないように。インスピレーションがおろそかになる」との人生訓、心に刻みます。

メートルダールの仕事場の再現コーナー。
なんと独学で宝石彫刻を学んで、道具も自分で工夫して開発しているそうです。

配信元: 幻冬舎plus

提供元

プロフィール画像

幻冬舎plus

自分サイズが見つかる進化系ライフマガジン。作家・著名人が執筆するコラム連載、インタビュー、対談を毎日無料公開中! さまざまな生き方、価値観を少しでも多く伝えることで、それぞれの“自分サイズ”を考え、見つける助けになることを目指しています。併設のストアでは幻冬舎の電子書籍がすぐに立ち読み・購入できます。ここでしか買えないサイン本やグッズ、イベントチケットも。