
フジテレビが、2026年から2030年までの5年間にわたる「Formula 1(F1)」日本国内独占オールライツ契約を締結したことにともない、動画配信サービス・FODにて、新料金プラン「FOD F1プラン」の提供を2月26日より開始した。同日、フジテレビ湾岸スタジオにて記者説明会が実施され、「フジテレビF1ナビゲーター」に就任し実況を担当するサッシャ氏、元「F1」ドライバーで解説を務める中野信治氏、フジテレビのプラットフォーム事業センター室長・野村和生氏が登壇。2026年シーズンからは、11年ぶりとなる地上波放送の復活も予定されている。
■「『F1』新規ファンの4人に3人が女性というデータも」
説明会で、このタイミングで「F1」独占配信権を獲得した理由について野村氏は、「そこには絶対的な勝機があるという確信がありました」と力強くコメント。「『F1』は今、中継を超えたエンターテインメント体験事業になっています。売上も年々右肩上がりで、ファンの層も世界的に若返っており、女性ファンの比率が42%を占めています。新規ファンの4人に3人が女性というデータもありますが、日本はまだその波に乗り切れていない“未知の市場”です」と展望を語った。
WEBザテレビジョンでは、なぜ今、世界的に「F1」が女性ファンから支持を得ているのか、その理由についてサッシャ氏と中野氏にインタビューを実施。モータースポーツ観戦という枠を超えた、「F1」の人間ドラマとしての面白さを熱く語ってもらった。
■「各ドライバー、それぞれが個性的で本当にかっこいいんですよ!」
ーーお2人は、「F1」の女性ファンが増えている理由はどこにあると分析しますか?
サッシャ氏:ドライバーの魅力じゃないですかね。Netflixの「Drive to Survive」(「Formula 1: 栄光のグランプリ」)がきっかけで、各ドライバーの個性が分かるようになりました。みんな個性もあるし、見た目も本当にかっこいいんですよ。ヒールっぽいキャラもいれば、優等生キャラもいて。

■「『F1』って世界に22人しかドライバーがいない」
サッシャ氏:それに、「F1」って世界に22人しかドライバーがいないんです。そんなスポーツ、他にないですよ。今年の「FIFAワールドカップ」に出るチームは48チーム。1チームのスタメンだけで11人いるわけですから、計500人くらいがピッチに立つんです。「WBC(WORLD BASEBALL CLASSIC)」も20カ国以上が参加して100名以上はいますし、「オリンピック」も大勢が出場します。でも、「F1」のシートに座れるのは世界で22人だけ。まず、22人なら全員覚えられますよね。
さらにその22人は、選ばれに選ばれた人たちなんです。文武両道の、小学校で言えば「オール5」のような、運動も勉強も全部できる。しかも、今の「F1」はお金持ちじゃないとドライバーになれないという側面もあります。日本は少し特殊ですが、基本的には“世界のイケメンで、お金持ちで、勉強も運動神経も抜群で…天から二物も三物も与えられた人たちの集まりなんです。
だから、みんな雰囲気に余裕がある。「お家柄、よろしいんだろうな」という、すべてを持っているようなイケメンたちが、ガチの勝負で必死になる。そんな人たちが必死になる姿って、なかなか見られないんですよ。貴族が「キー!」っとなっているシーンなんて見ないでしょ(笑)?それが「F1」なんです。
■「入り口の敷居が非常に高い。年間数千万というお金が必要になる」
ーーそのギャップに魅入られるんですね。ちなみに、一見“頭脳”は他の要素に比べたらそこまで必要とされないようにも感じますが…。
サッシャ氏:抜くために今ここでどうすべきか、戦略を立てるのに自分を俯瞰して見られないとダメなんです。ただ真っ直ぐ走るだけなら速ければいいだけですが、コーナーがある。今ここで相手にプレッシャーをかけて、相手が失敗しそうなところを予想しながら「今だ!」と心理戦を仕掛ける。心理戦って、頭が良くないとできないじゃないですか。
ーーでは、お金が必要だという点については、やはり車自体にかかる費用が莫大だからでしょうか?
中野氏:車を始めること自体が大変なんです。レーシングカートから始めるのですが、上を目指していくと年間数千万という費用が必要になることも。入り口の敷居が非常に高いスポーツであることは確かだと思います。
■サッシャ氏「一言で言えば“超持ってる”22人」
ーーそこに努力と才能が加わって、初めて22人の中に入れるということですね。
中野氏:お金と才能だけでも入れないです。正しいタイミングで正しい場所にい続ける、その上で何かピタッとすべてが合った時だけ。そういう世界なんです。
サッシャ氏:一言で言えば“超持ってる”22人しかいない。だから魅力的なんですよね。「私だったらこの人」と誰か一人“推し”を決めちゃったら、追い続けたくなる。それで今、女性人気がすごいんだと思います。
ーー日本人は“推し活”が文化として定着していますから、相性が良さそうですね。
サッシャ氏:日本人に超向いていると思いますよ。今の「F1」は本当に“推し活文化”ですから。
■「注目選手は『モナコの王子』と呼ばれるシャルル・ルクレール」
ーー個性的な面々の中でも、「特に2026年はこの選手に注目してほしい」というドライバーはいますか?
サッシャ氏:女性目線で言えば、やはり「モナコの王子」と呼ばれる(シャルル・)ルクレールですね。モナコ公国という、フランスの中にある小さな国。税金がかからないような特殊な国の、超お坊ちゃまです。今、「F1」を代表するフェラーリというチームにいて、今年こそチャンピオンを獲れるかもしれないという期待がかかっています。
これがまた、かっこいいんですよ。さっき言った通り運転も上手いし、頭もいい。最近婚約しましたが、フィアンセもめちゃくちゃ綺麗で、飼っているミニチュアダックスフントも超可愛い。さらにズルいのが、ピアノがとても上手いんです。
ーーそれは完璧すぎますね。
サッシャ氏:曲も出しているんですよ。レースの後に、そのレースをテーマにした自作曲をね。それなのに荒ぶった激しい曲ではないんです。「Charles Leclerc」で検索すればSpotifyなどでも聴けますが、クラシックのピアノ曲のような素晴らしい演奏が配信されていますよ。もう、なんなんでしょうね(笑)。
中野氏:へぇー…!いやらしいですね(笑)。わざわざ配信しなくてもいいのにね。
サッシャ氏:本当に持っていないものがなさすぎて…男から見てもジェラシーすら湧かない。「どうぞお幸せに!」というレベルです。
■「今19歳の若手、キミ・アントネッリにはいろんな意味で期待」
中野氏:僕はイタリア人の若手、キミ・アントネッリですね。今19歳で、今年20歳になるのかな。すごく可愛いんですが、意外なほど速い。2025年に18歳でデビューして2年目ですが、メルセデスという優勝候補のチームにいます。チームメイトのジョージ・ラッセルも優秀なイケメンですが、アントネッリはまだ見た目にちょっと子どもっぽさが残っています。
サッシャ氏:去年高校を卒業したばかりですからね。それもシーズン中に。
中野氏:彼のようなドライバーがチャンピオン争いに加われば、若い世代が男女問わず興味を持つはず。「彼にできるなら俺だって」と思わせてくれる…実際はできないんですけど(笑)、そう思わせることが大事なんです。いろんな意味で期待しているドライバーです。
サッシャ氏:最年少の10代から、今年45歳になる(フェルナンド・)アロンソのような“イケおじ”まで揃っています。年下好きからイケおじ好きまで、趣味の幅を広めに取って、どんな方にも対応できるようになっております(笑)。
■「“誰が生き残るか”というサバイバルゲーム的な面白さがある」
ーー最後に、これから「F1」を楽しみたい人へのメッセージをお願いします。
サッシャ氏:「F1」は最高のエンターテインメントなんです。FODを利用している方はドラマやエンタメが好きな方が多いはずですが、エンタメ目線で見て、レースそのものが分からなくても十分楽しめます。国歌斉唱のシーンや豪華なパフォーマンス、「グリッド」と呼ばれるスタート前の場所には、ビヨンセやジェフ・ベゾス、イーロン・マスク、他のグランプリですけど、渡辺謙さんも…彼らのような世界のトップセレブたちが集まります。それを観ているだけでも本当に豪華です。
そして、人間ドラマがすごい。1チーム2人体制ですが、チームメイトは最大の仲間であり、出世のために勝たなければならない最大の敵。協力しないと他チームに勝てないけれど、仲間に負ければ自分のキャリアが終わるかもしれない。どんなサスペンスの伏線回収より面白い、シートを奪い合う”生き残りサバイバル”としての面白さがあります。

■「究極の人間ドラマ。車に興味がない人が観ても心を掴まれるはず」
ーーまさにリアリティショーのような側面もあるのですね。
サッシャ氏:そう!生き残るのは一人、チャンピオンになるのも一人。ドラマのように、毎週誰かが脱落していくゲームを勝ち抜くような目線で見ても面白いです。実況でもそういう部分を大事にしたい。ドライバーの感情は中野さんが専門的に解説してくれますから、僕はもう少し下世話に(笑)、ゴシップ情報なども交えながらやっていきたいですね。命懸けの時速300キロの世界だからこそ生まれる、普段は見られない感情や凄ワザを知ってほしいです。
中野氏:”究極の人間ドラマ”ですからね。レースの結果だけでなく、その裏側で行われている戦いや、ドライバーのリアクションに注目すると格段に面白くなります。走っている姿は氷山の一角で、隠れている部分こそが本質。今の「F1」はそこをどんどん可視化しているので、車に興味がない人が観ても心を掴まれるはずです。
サッシャ氏:ヘルメットを被って顔が見えない分、無線から聞こえる喋り方で性格が見えてくるのも面白いですよね。
中野氏:とにかく今は“人”にフォーカスしています。そこが一番の魅力ですね。
サッシャ氏:時速300キロで走っているのに、「心拍数40ですか?」というくらい落ち着いて喋る人もいれば、感情を爆発させる人もいる。キャラが分かれば「落ち着いている人がかっこいい」や「感情が豊かで素敵」などと、より楽しめます。ぜひ自分なりの“推し”を見つけて、人間ドラマを堪能してください。
構成・文=戸塚安友奈

