「卵はコレステロールが高いから1日1個まで」。健康のために、長年そう信じて卵を控えてきた方も多いのではないでしょうか。しかし、最新の医学研究によって、その「常識」が大きく変わりつつあります。今回、「卵とコレステロールの本当の関係」についての最新の結論と、医師がおすすめする「悪玉コレステロール(LDL)を下げる最強の食べ物3選」について、舛森先生に詳しく伺いました。
※2026年1月取材。

監修医師:
舛森 悠(YouTube医療大学)
2019年旭川医科大学卒業後、札幌にて初期研修をおこない、函館稜北病院総合診療科へ。北海道内の3次救急を担う救命救急センターなどを経て、現在は千葉大学大学院 医学薬学府 先進予防医学共同専攻 博士課程にて研究に従事。並行して北海道での地域医療に貢献し、登録者86万人を誇る「YouTube医療大学」を運営。一般社団法人とまりぎケア代表理事、総合診療専門医、新家庭医療専門医、認知症予防専門医、医師会認定産業医。
「卵は1日1個まで」は本当? 最新の結論とは
編集部
「卵は1日1個まで」と信じてきましたが、“最新の研究で変わりつつある”と聞きました。
舛森先生
これは非常に多くいただく質問ですね。結論から言うと、「健康な成人であれば、1日1個以上食べたからといって、心血管疾患のリスクが上がるという確固たるデータはない」というのが、現在の主流の考え方です。
編集部
そうなのですね。しかし、なぜ昔から「卵はダメ」と厳しく言われていたのでしょうか?
舛森先生
それは、卵1個(約50g)の黄身にはコレステロールが約210mg含まれているからです。かつては「食事で摂るコレステロールを厳しく制限すべき」と考えられており、日本動脈硬化学会も「脂質異常症の人は1日200mg未満」という基準を設けていた時代がありました。卵1個でその基準に達してしまうため、「卵=悪」というイメージが定着したのです。
編集部
それが「最新の主流」では変わった、というのはどういうことですか?
舛森先生
最新の研究では、食事から摂るコレステロール量と、血液中のコレステロール値との関連は、個人差が非常に大きいことが分かってきました。この流れを受け、米国の食生活ガイドライン(2020-2025版)では、食事性コレステロールの「厳格な数値上限」は設けられていません。日本も同様に、厳格な数値制限よりも、食事全体のバランスを重視する方向にシフトしています。
卵よりも注意すべき「食べ合わせ」と「体質」
編集部
「卵1個まで」は、もう古い常識だったのですね。
舛森先生
そういうことです。実際、アジアでの大規模な研究では、1日1個程度の卵の摂取は、心血管疾患のリスク低下と関連していたという報告すらあります。卵は良質なたんぱく質源であり、食欲や血糖コントロールに役立つ「コリン」や、目の健康に良い「ルテイン」なども豊富な、非常に優れた食材なのです。
編集部
では、1日に2個や3個食べても、全く問題ないのでしょうか?
舛森先生
ここで重要なのが、コレステロール単体よりも「飽和脂肪酸(SFA)」です。本当に気をつけるべきは、卵そのものよりも「食べ合わせ」です。例えば、卵と一緒に食べるベーコンやソーセージ、バターをたっぷり使ったスクランブルエッグは、飽和脂肪酸も非常に多く、これらが悪玉(LDL)コレステロールを上げる主たる原因になります。卵を食べるなら、「卵+野菜+全粒粉パン」のように、食物繊維などと組み合わせるのが賢明です。
編集部
すでにLDLコレステロールが高い人や、糖尿病の人はどうすべきですか?
舛森先生
そこは注意が必要な点で、「2型糖尿病の人」や「家族性高コレステロール血症」など、すでにリスクが高い方々については、卵黄などの高コレステロール食品を控えることが、現在も妥当な判断とされています。また、コレステロールの吸収には個人差があり、卵を食べるとLDLが上がりやすい体質の人(ハイレスポンダー)もいます。健康な方は過度に恐れる必要はありませんが、すでにLDLが高いと指摘されている方は、コレステロールゼロの「卵白」を活用するなど、黄身の「量」や「頻度」を主治医と相談するのが良いでしょう。

