●期限を守らない写真使用でも「無効」の可能性
──指定された撮影時期を守らない写真を使用したことで「経歴詐称」や「虚偽申告」と指摘されたり、解雇や内定取り消し、試験失格などの理由とされたりすることはありますか。
相当前に撮影された顔写真では、体重や髪型など身体的な変化により、現場での本人確認に支障が生じる可能性があります。そのため、便宜的に「3カ月以内」といった期限が設けられているにすぎません。
したがって、悪意なく、期限を若干過ぎた顔写真を使用してしまったとしても、企業側がいったん採用決定したにもかかわらず、後になって「期限を過ぎた写真だった」という理由だけで解雇したり、合格基準をクリアした受験生に対して事後的に不合格としたりすることは、無効とされる可能性が十分にあります。
ただし、事情によっては結論が異なる場合もあります。
たとえば、企業側に応募者の直近の容貌を確認する合理的な必要性があり、かつ応募者もそれを認識しながら、あえて現在と異なる外貌の写真を使用した場合です。
具体的には、髪型や髪色なども選考基準に含まれることを理解したうえで、基準に適合していた過去の写真をあえて使用したようなケースです。
面接であればその場で判明するかもしれませんが、書類選考だけの場合、企業側が誤って採用決定をしてしまうかもしれません。
このように、不正な意図があり、かつ選考結果に重要な影響を及ぼす事情がある場合には、採用後に事実が発覚したとしても、採用取り消しが有効と判断される余地もあります。
【取材協力弁護士】
今井 俊裕(いまい・としひろ)弁護士
1999年弁護士登録。労働(使用者側)、会社法、不動産関連事件の取扱い多数。具体的かつ戦略的な方針提示がモットー。行政における、開発審査会の委員、感染症診査協議会の委員を歴任。
事務所名:今井法律事務所
事務所URL:http://www.imai-lawoffice.jp/index.html

