●「性的目的はない」との主張
検察官は、被告人が自身も性被害を受けた経験があるにもかかわらず、同じような行為を加害者としておこなった点を追及した。
検察官:行為の最中、被害者の気持ちは考えなかったの?
被告人:と思います。
検察官:考えられていない原因は、どう思っている?
被告人:ちょっと、よくわからない。
また、性欲を満たす目的だったのではないかと問われた際も、被告人はこれを否定した。話題は児童ポルノへ移っていく。
検察官:撮影はどうしておこなっていたのですか?
被告人:自分が性被害にあっているとき、写真や動画を撮られていたので、性行為のとき撮影するのが普通なのかなと思っていました。
検察官:各犯行の動画を見返したことは?
被告人:ありました。
●旅行から帰宅後、押し入れに閉じこもった息子
ある被害児童の母親は文書で意見陳述をおこなった。
この母親は被告人のことをよく知っているという。被告人について「嘘で塗り固める癖がある」と指摘。息子(被害児童)からも「口癖は『バレなかったらいい』だった」と聞いていたという。
息子には発達に特性があり、家族旅行が難しい状況が続いていたが、被告人が連れて行くと言ったことから任せた。しかし、旅行から帰ると、息子は押し入れに入り込み、震えていたという。
母親は、事前に異変に気づけたのではないか、息子はSOSを発していたのではないかと自らを責めたと述べた。事件後、息子との会話を増やそうとしたが、情緒が不安定になり、怒りをぶつけられるだけで、一時期は会話が途絶えたという。
母親は「これ以上注意されたくないと思っている息子に、自尊心を持たせたいと願ってきた。そんな家族の思いを逆手に取った犯行だ」として、強い憤りを示した。
また、「施設の従業員には普段から世話になっていただけに、今回の事件で他の職員まで信用を落としたことが許せない」とも述べた。「隙のない制度をつくり、子どもたちを守ってほしい」とうったえて陳述を締めくくった。

